2015 Fiscal Year Annual Research Report
電気インピーダンス測定によるナノ界面空間の静的・動的構造の解明
Project/Area Number |
25289096
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 貴富喜 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (20322688)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 1分子計測 / バイオナノテクノロジー / 電気インピーダンス計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノメートルサイズの断面を持つナノ流路を合目的に利用した,生体分子の電気的1分子測定デバイスの開発にあたっては,流路幅が壁面付近の固液界面に形成される電気二重層幅と同じオーダーであるため,場合によっては内部空間の全てが電気二重層に埋もれてしまう特殊な空間となる。そこで,これまではナノ流路における電気測定の高感度化・高精度化を目指し,こうしたナノ空間の構造の研究を進めてきた。今年度は,これまでに明らかとしたナノ流路内のイオン分布を元に解析モデルを構築し,ナノ流路内における生体分子の電気的1分子測定に挑戦した。 具体的には,これまでの成果を反映したナノ流路内の電気等価回路モデルを構築し,これを元にDNA1分子の電気インピーダンス測定と構築したモデルによるデータ解析を行った。その結果,長さ5kbpのDNAまでに関しては,1分子(モル濃度で約420fM)で計測できることを世界で初めて実証にすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画全体の目標であった,ナノ流路内のイオン分布の構造に関して明らかとしただけで無く,そこで得られた知見を元にナノ流路内の電気的等価回路をモデリングし,実際に生体分子(DNA)の1分子計測で得られた電気インピーダンスデータを,上記の等価回路で分析することで,DNA1分子の電気インピーダンスシグナルの取得に成功した。液中の電気インピーダンス計測としては世界最高感度を実証することに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
生体分子の1分子計測例として,様々な分子量サンプルを作り易いDNAでの計測データ取得を進め,本手法の検出限界に対する理論的考察を深める。 また,交流インピーダンス測定では,周波数に応じて働く誘電泳動力によって,分子のコンフォメーションが変化するため,すなわちインピーダンス応答も変化するため非線形な増幅信号を得られる可能性がある。このような分子に静電力を与えながら計測する,新しい非線形電気インピーダンス計測法への展開も視野に入れ,分子のコンフォメーションと信号の関係,電極表面における電子の授受のメカニズムにアプローチする予定である。
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