2013 Fiscal Year Annual Research Report
Datta-Das型スピン FETを用いた超省エネルギー論理回路実用化の研究
Project/Area Number |
25289100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
山田 省二 北陸先端科学技術大学院大学, ナノマテリアルテクノロジーセンター, 教授 (00262593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤堀 誠志 北陸先端科学技術大学院大学, ナノマテリアルテクノロジーセンター, 准教授 (50345667)
岩瀬 比宇麻 北陸先端科学技術大学院大学, ナノマテリアルテクノロジーセンター, 助教 (10709132)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スピンエレクトロニクス / スピンFET / 半導体ヘテロ接合 / インバータ / 論理回路 |
Research Abstract |
平成25年度は、 1.スピン注入素子、或いはスピントランジスタ用分子線エピタキシー結晶成長において、高In組成InGaAs/InAlAs i-HEMT構造(2DEG 1層系)に加え、幅広(40-120 nm)量子井戸dd(double-doped)-HEMT構造(2DEG 2層系)において、上下2DEGのシート電子濃度をほぼ同じにするための、上下のデルタドープ密度を非対称(【上側】>【下側】)にした試料、及び上下2DEGの相互作用を制御するための、井戸内にInAlAs barrierを有する試料などの作製とサブバンド輸送解析を行った。その結果、各試料ともこれまでとほぼ同程度のシート電子濃度(~5x10e11 /cm2)・移動度(~10 m2/Vsec)、及びRashba型スピン軌道相互作用結合定数(~10x10e-12/eVm)をもつことが確認された。 2.上記InGaAs/InAlAs i-HEMTとCoFe電極を組み合わせたスピン注入素子において、素子作製プロセスにおけるCoFeのリフトオフ時にレジストの温度が上がらず変質しにくいと予想されたCoFeスパッタ法(ECRスパッタ方式)を採用した。しかしながら、リフトオフ=パターン形成の歩留まりは著しく向上するものの、CoFe膜の磁性(特に保持力などのヒステリシス特性)が以前のRFスパッタ法に比べ、同程度以下であることがわかった。この磁性の差はSQUID測定でも確認されたが、原因は現在調査中である。そのため、試作した一連の試料に関し、現在まで明確なスピンバルブ特性が観測できていない。これらの結果を踏まえ、スパッタ法についての再検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
強磁性電極に用いるCoFe薄膜をより、従来装置より低温で成膜できるECRスパッタ法を新しく採用したが、事前の予測より薄膜の磁性が悪い(磁気ヒステリシス特性が複雑かつ柔らかい)のが最大の原因である。 CoFe薄膜の成膜条件(Ar圧力、投入パワー、成膜レートなど)と薄膜の磁気特性との関連を慎重に調べた後、スピンバルブ素子に適用すべきであった。ただし、この前半の作業に膨大な時間がかかっていた可能性もある。
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Strategy for Future Research Activity |
1.引き続きこれまで進めてきたスピンバルブ素子ースピントランジスタの安定的作製とその特性解析に取り組み、われわれが観測確認してきた極めて長いスピン拡散長とそのデバイス応用に向けた取り組みを進める。 具体的には、表面ゲートをもつスピン注入素子を作製し、表面ゲート電圧を変えてRashba型スピン軌道相互作用強度を変化させたときのスピン拡散長を調べ、両者の定量的関係を明らかにする。すなわち、注入実験から評価できるスピン拡散長と弱反局在実験から決まるスピン軌道相互作用長との実験的関係を明確化し、理論・計算と比較する(代表者、分担者;赤堀、岩瀬)。 2.本研究で試作するスピン注入素子、スピントランジスタ構造におけるスピン拡散の様子をシミュレートする計算を行い、1)の実験と比較して、最終的な結論導出をめざす(分担者;土家)。 3.スピン注入素子と類似構造で、強磁性体CoFe電極間にゲート電極をもつ拡散型スピントランジスタを試作し、ソースドレイン電流のゲート電圧に対する振動的振る舞いの観測をめざす(代表者、分担者;赤堀、岩瀬)。 4.1)ー3)の結果を元に、強磁性電極3個、ゲート電極2個をもつ、スピントランジスタインバータの設計・試作を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、物品費を主に分子線エピタキシー結晶成長装置の装置・部品の更新に使ったが、予想より少額で済んだことが大きい。また、次年度は、1年ぶりの装置大気開放を予定しているので、その際の部品交換などに新たな支出が発生する可能性が有り、それに備えて、支出を控えた。 結晶装置関連の装置、部品の内、特にクライオポンプの修理更新費用に充てることを予定している。その必要がなくなれば、新しいセルと電源のセット購入を次の優先事項と考えている。
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Research Products
(3 results)