2014 Fiscal Year Annual Research Report
京コンピューターを用いたアトミスティック・デバイスシミュレータの開発
Project/Area Number |
25289102
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小川 真人 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40177142)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 聡文 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20432560)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | BPSM法 / Gauss quadrature近似展開 / 超並列化JD型固有値解法 / 非平衡グリーン関数法 / ナノワイヤFET / 強束縛近似モデル / 原子軌道展開 |
Outline of Annual Research Achievements |
■ 原子軌道の多項式線形結合を基底とした展開法で,Legendre多項式によるGauss quadrature近似展開によるBPSMを並列化することによりオーダN法を実現し,必要な行列の非零要素数を従来の1/4以下に軽減する解法ルーチンが構築できた。 ■ 超並列化 Jacobi-Davidson 型固有値問題解法ルーチンの作成 FINFETやナノワイヤFETなど閉じ込めが強い場合にはさらに,閉じ込めモードを用いることで計算負荷を減らすことが可能であり,現在1000×1000次元(s,p, s*原子軌道を持つ1000個の原子)を取り扱うことが可能であるが,固有値計算を並列化Jacobi-Davidson法を拡張した手法によって行うことにより取り扱える次数(原子数)を5000個まで増やすことが可能となった。25nm以上のサイズを持つデバイスの電子状態解析および輸送特性の解析が可能な解法ルーチンの構築の中途段階まで完成している。 ■ 超並列高速化グリーン関数ソルバーの作成 BPSMと固有値問題解法を複合し,強束縛近似モデルによる実空間対角表現とモード対角表現の行列表現のうち疎になる表現を自動的に選定するルーチンの開発により,グリーン関数を高速に解くことの出来るアルゴリズムを次元数の低い段階(100x100)で構築できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超並列化 Jacobi-Davidson 型固有値問題解法ルーチンにおいて,取り扱える次数(原子数)を5000個まで増やすことが可能となった点で進展があり、これを超並列高速化グリーン関数ソルバーの作成においてBPSMと固有値問題解法を複合し,グリーン関数を高速に解くことの出来るアルゴリズムを次元数の高い問題への適応の目途がついたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
□ 電子系-熱伝達系の連成シミュレーション フォノン散乱,フォノン輸送シミュレーション,界面ラフネス散乱,不純物散乱,離散的不純物分布がもたらす 温度分布,発熱分布などの効果を原子スケールでのNEGF表式(TB-NEGF)に取り入れ,電子系-熱伝達系の連成シミュレーションを行い 非平衡量子輸送デバイスシミュレータの構築を行う. □ グラフィカル・ユーザインタフェース( GUI )プロトタイプの構築 結果の視覚化には国内で広く用いられるために GNUplot および GNU Octave により現在のプログラムを書き直し, クライアント・サーバ型インタフェースによる構成に変更する.TB材料データベースとしてはSQL言語を用いたデータベースを構築する.特に教育面では,本学ポートアイランド統合研究拠点に平成23(2011)年6月に導入した没入型3次元可視化システム(π-CAVE)を用い,「計算科学におけるデータ可視化研究拠点の形成」プロジェクトと協働を図り,空間と時間の大規模4次元シミュレーションデータ可視化のための先進的アルゴリズムの研究開発とその実装法を開発し,全国の計算科学の研究と教育に寄与する.
|
Causes of Carryover |
プロトタイプのサイズの小さい行列において研究計画のフィージビリティスタディを実行する際には、現有のワークステーションにてプログラムの実行が可能であったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画書に記載している目標値を達成するためには、フィージビリティスタディおよび成果に記載しているアルゴリズムを用いて大型の行列計算に適用することが必要となり、申請している罫線能力を持つワークステーションを今年度購入する予定である。
|
Research Products
(15 results)