2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25289103
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中島 安理 広島大学, ナノデバイス・バイオ融合科学研究所, 准教授 (70304459)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオデバイス / バイオセンサー / 単一電子トランジスタ / 前立腺特異抗原 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画では、Si単一電子トランジスタを利用して前立腺癌マーカーである前立腺特異抗原(PSA)の高信頼性検出に関する研究を行う事とした。また、目標検出感度はPSAのカットオフ濃度の4ng/mlとした。 これを実現するために、室温動作単一電子トランジスタを作製し、ゲート絶縁膜におけるSi窒化膜表面上のOH基にAPTESを結合させてNH2基を導入し、次にアルデヒド基を導入するためにGlutaraldehydeをアミノ基に導入させた。続けてアンチPSAをこのアルデヒド基と結合させてゲート絶縁膜への固定化を行った。このゲート絶縁膜表面に濃度4ng/mlのPSAを導入後洗浄を行った。この時、Si単一電子トランジスタのドレイン電流-ゲート電圧特性はPSA導入前に比べて約30mV正のゲート電圧方向にシフトした。PSAの等電点がpH6.9近傍にあるため、用意したpH7.5の緩衝液中ではPSAが負に帯電していること考慮すると、この閾値電圧の変化の方向はつじつまが合っている。以上の結果から、室温において単一電子トランジスタを利用したPSAの電気的検出に成功したと言える。 バイオセンサーにSi単電子トランジスタを利用した場合、クーロン振動のために通常のFETを用いた場合よりも高感度な検出が期待できる。本年度の研究実施計画では、Si単一電子トランジスタにおけるバリア部分と同一のサイズのナノワイヤを有するトランジスタを作製し、両者の感度を比較する予定であった。しかし、両者のサイズを同一にする事は非常に難かった。そこで最終的に、単一電子トランジスタとナノワイヤトランジスタのドレイン電流-ゲート電圧特性をシミュレーションを用いて比較した。これにより、単一電子トランジスタにおいてナノワイヤトランジスタより検出感度を高くできる事を証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画では、Si単一電子トランジスタを利用して前立腺癌マーカーであるPSAの高信頼性検出に関する研究を行う事とした。また、目標検出感度をPSAのカットオフ濃度の4ng/mlとした。これについて、本年度達成する事ができた。 また、Si単一電子トランジスタを利用した場合の検出感度とナノワイヤトランジスタの場合の検出感度を比較してSi単一電子トランジスタの優位性を実験的に証明する予定であった。しかし、Si単一電子トランジスタにおけるバリア部分とナノワイヤトランジスタのワイヤサイズを同一にする事は非常に難しく、今回は単一電子トランジスタとナノワイヤトランジスタのドレイン電流-ゲート電圧特性をシミュレーションを用いて比較を行った。これにより、単一電子トランジスタにおいてナノワイヤトランジスタより検出感度を高くできる事を示した。 以上を考慮すると、研究の目的はおおむね達したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はSi単一電子トランジスタを利用してPSA以外のバイオ分子についても高信頼性検出を行う。また、単一電子トランジスタにおいて、ドットのサイズ、表面修飾方法等の最適化を行い、単一電子トランジスタバイオセンサーの更なる感度向上を図る。
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Research Products
(4 results)