2015 Fiscal Year Annual Research Report
光複素振幅制御技術を用いたモード拡散多重光ファイバ通信に関する研究
Project/Area Number |
25289110
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡本 淳 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (40224068)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 光ファイバ通信 / 空間モード / 位相共役 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近年、光ファイバ通信容量の拡大に向けて空間モード分割多重通信方式の検討が活発に進む中、必ずしも単一の空間モード毎に信号を変復調しなくても、光ファイバにおける空間位相歪の影響を回避できる「モード拡散多重伝送」の仕組みを新たに提案し、その基本動作を実証することにある。 平成27年度は、前年度に得られた成果を基にして、空間モード拡散通信の実現に向けた空間モードの生成・変換・分離・検出技術の改良と、その性能向上に向けた研究を推進した。まず、システム構築の重要な基盤技術である複素振幅生成技術について、前年度までに開発したホログラフィックダイバーシティ干渉法の計測アルゴリズムを大幅に改良し、参照光強度に対する制約を大幅に緩和することに成功した。これにより、光複素振幅の計測精度が大幅に向上した。また、従来のCGHよりも高性能・高精度かつ1台の位相変調SLMで複素振幅を生成可能な技術として、空間クロスモジュレーション法を開発し、これを可変的な空間モード生成器として用いることができることを実証した。 モード拡散通信のベースとなるシステムとして、昨年度には可視光を用いて行っていたプログレッシブ位相共役を近赤外域で動作させる実験を実施し、3つの異なる空間モードの分離・抽出に成功した。プログレッシブ位相共役の実施手順は以下となる。まず、パイロット光を光ファイバに入射してモード光を励振し、ファイバ伝送後に歪みを受けたモード光の複素振幅分布を複素振幅検出器で検出した。次に、検出された光複素振幅の位相共役分布を、SLM上に表示し、SLMに入射した信号光のモード分布が平面波に変換されることを実験的に検証した。以上の検討に加えて、本研究では、昨年度実施した複数の空間モードを同時に変換することのできるフォトニッククロスコネクトにおける回折効率ならびに結合効率の改良を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究業績の概要で述べたように、本年度は、1. 光複素振幅検出技術を大幅に改良し、従来よりも光強度比に対する条件を緩和し、正確に複素振幅分布を計測できる技術を開発したこと。2. 1台の位相変調SLMで複素振幅を生成可能な技術として、空間クロスモジュレーション法を開発し、これを任意の空間モード生成器として用いることができることを実証したこと。3. 昨年度には可視光を用いて行っていたプログレッシブ位相共役を近赤外域で動作させる実験に成功したことにより当初の研究計画は達成されたと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
空間モード拡散通信の実現に向けた空間モードの生成・変換・分離・検出技術の更なる検討と、その性能向上に向けた研究を推進する。特に、参照光不要型位相計測技術の改良、空間クロスモジュレーション法を用いた空間モード生成技術のさらなる高精度化、ならびに、ホログラム素子の応用について検討する。
|
Causes of Carryover |
本年度、購入した機器について購入先業者より大幅な値引きが受けられ、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用分については、主に次年度に参加する学会への旅費・参加費および消耗品などの購入費として用いるが、翌年度分として請求した研究費全体の使用計画には大きな変更は生じない。
|
Research Products
(9 results)