2013 Fiscal Year Annual Research Report
医療・交通・防災・エネルギーのデペンダブル制御通信のためのマルチレイヤ統合最適化
Project/Area Number |
25289112
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
河野 隆二 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (90170208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 秀樹 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (20334576)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 移動体通信 / 情報通信工学 / 高信頼制御通信 / 医療ICT / UWB無線 |
Research Abstract |
(1)機械間(M2M)制御ネットワークにおいて国際学会・標準化団体における研究動向、アプリケーションとの整合性についてのサーベイを行うと同時に、想定されるシステム要求、評価基準(制御安定性・遅延、消費電力・帯域・伝送速度・誤り率等)を明確にし、状態方程式などを用いてM2M制御通信システムをモデル化を行い検討した。 (2)M2M制御ネットワークの制御と通信の両者の最適化基準に適したUWB無線、アレーアンテナ・MIMO時空間信号処理、ソフトウェア無線、コグニティブ無線および、複数ノード間の協調センシング・通信などの物理層技術、MAC層のコンテンションベース・コンテンションフリーのハイブリッドプロトコルなど考案、ネットワーク層のメッシュネットワークにおけるパラレル・シリアルホップによるマルチホップルーティングアルゴリズムなどM2M制御通信のための評価基準に基づき、統合最適化する複合方式の考案、性能解析を行った。特に、UWB無線の物理層での情報セキュリティ能力を耐干渉能力や、制御対象の制御パラメータやセグメント毎の制御上の重要度に応じた誤り制御方式考案、性能解析を行った。 (3)国際標準化IEEE02.15.6に準拠したBANに、上述のデペンダブル制御通信技術を導入し、生体情報の無線センシングだけでなく、それに基づくインスリンポンプなどの無線ループ制御に適応可能な高い信頼性、耐干渉性、セキュリティ、低侵襲性などのDependabilityを確保するために、連携機関の横浜市立大学附属病院の協力を得て、臨床研究を行った。 (4)デペンダブル無線制御通信のための制御理論と通信理論および周辺理論の調査と包括理論の体系化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に基づき、高信頼性が必要な機械間(M2M)の制御のための通信(制御通信)の最適設計のために制御と通信の制約条件、評価基準の導出・検討を行った。次に、この設計規範に基づくDependabilityを定義し、制御対象の運動やセンサ特性を定式化した上でUWB無線、コグニティブプロトコル、フォールトルーティング、暗号などの物理層からMAC層、ネットワーク層、アプリケーション層のマルチレイヤ垂直統合方式の考案、それを応用した医療用BANの試作、連携機関と臨床実験、試作評価を行った。特に、国際標準IEEE802.15.6における異なる医療情報の要求QoSに応じた誤り制御法として、訂正能力・計算量・遅延時間において優れたDecomposable Codeを用いたHybrid ARQ方式を考案し、査読付論文並び国際会議発表を行った。また、横浜国立大学の特許技術を含む医療用ボディエリアネットワーク(BAN)の国際標準IEEE802.15.6に準拠した超広帯域(Ultra Wide Band: UWB)による無線デバイスを試作し、社会実験・臨床実験を実施した。 研究代表者が数年前に創設した電子情報通信学会の医療ICTと高信頼制御通信の2つの時限研究会(研究専門委員会)が、本研究助成に基づく医療ICTと高信頼制御通信の研究活動により、平成26年度から常設の第一種研究会(研究専門委員会)に昇格するに至ったことは、社会・学術貢献として評価を得たものと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に調査、検討した機械間M2M制御用ネットワークにおける制御通信のための複合最適化基準と、各レイヤ毎の要素技術の最適化を、物理層からMAC層、ネットワーク層、アプリケーション層のクロスレイヤ、マルチレイヤにわたる垂直統合型技術の考案、および制御理論と通信理論の水平統合型理論体系に基づく性能解析法、評価法、最適設計法の導出を行う。また、M2M制御のためのデペンダブル無線制御通信ネットワークのマルチレイヤ垂直統合最適化技術の医療・交通ほかへの応用を検討する。 本研究助成に基づく研究成果を広く学会や産業界を通じて普及させるために、11で報告したように、平成26年度よりヘルスケア・医療ICT研究会(研究専門委員会:委員長:河野隆二)および、高信頼制御通信研究会(専門委員会:顧問:河野隆二)を通じて、研究開発を牽引すると共に、研究代表者がFinnish Distinguished Professorを務めるフィンランド・オウル大学および、CEOを務める同大学日本研究所CWC日本を通じて、国際標準化やビジネス展開する。併せて、研究代表者が2006年に横浜で開催した第1回医療ICT国際シンポジウム(ISMICT2006)を毎年、国際運営委員長として継続開催し、本研究助成の成果を世界中に公開し、我が国が同分野の中心として牽引する所存である。
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