2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25289114
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
和田山 正 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20275374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 泰介 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20432461)
三村 和史 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (40353297)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 符号理論 / 確率的手法 / グラフ / グループテスト / 統計力学 / 分散アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の本研究課題に関する研究実績を下記の通り報告する。新しい研究として、状態遷移グラフにより定義される書き込み系に対する書き込み容量を吟味する研究を開始した。書き込み容量は、任意の有向グラフに対して定義される量であり、その評価はわれわれが``Subgraph domatic problem''と呼ぶ組み合わせ最適化問題の解くことが求められる。本問題に関して、26年度中にわれわれは、いくつかの理論的な結果を得ることができた。確率的手法における重要な技法として知られるロヴァースの局所補題を利用した密グラフの書き込み容量の評価に関する仕事は、本年のISIT2015に採録されている:T.Wadayama, T. Izumi, and H. Ono, “Subgraph Domatic Problem and Writing Capacity of Memory Devices with Restricted State Transitions,” to apper, IEEE ISIT2015: 情報理論と理論計算機科学にまたがる課題について、確率的手法を応用して得られたこの結果は、本プロジェクトの成果として相応しいものであると考えている。また、ファクターグラフにおけるホログラフィック変換の新しい応用として、グループテストの文脈で新しい双対公式を導くことに成功した。この双対公式は、グループテストにおける事後確率計算の高速化に寄与できる可能性もあり、理論的のみならず工学的な見地からも興味深い結果であると考えている。その成果の一部もISIT2015の採録が決まっている:Tadashi Wadayama, Taisuke Izumi, and Kazushi Mimura, “Bitwise MAP Estimation for Group Testing based on Holographic Transformation,” to appear, IEEE ISIT2015:
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展していると認識している。主な理由としては、当初計画していたグループテストに関する仕事が論文提出完了し一段落したこと、また、ランダムグラフ理論への展開、Invertible Bloom Look Up Tables (IBLT)に関する仕事のまとめも終えた。また、当初計画にはなかった興味深いアイデアといくつかの萌芽的技術が生まれたことは、本プロジェクトの一つの成果物といえるだろう。例えば、Subgraph domatic problemに関する検討は始まったばかりであり、今後さらなる進展が期待される。国際会議投稿、論文投稿も比較的順調に進んできており、成果の公開という観点からも、計画はほぼ順調に進展してきているのではないか、と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の方策は次のとおりである。比較的順調に研究が進んでいる従前の研究計画に加えて、新たに重点検討課題として、(a) Subgraph domatic problemに関する理解の深化と展開(和田山、泉)、(b)インデックス符号に基づくブロードキャスト再送方式の提案と解析(和田山)、(c)圧縮センシングにおけるAMPアルゴリズムの解析(三村)を加えて検討を進める。特に(a)は、グラフ理論と符号理論の両方の色彩を持つ符号化理論であり、本プロジェクトの特色を色濃く反映している研究である。ロヴァースの局所定理の応用は、他の文脈でも有効であると思われるので応用も考えていきたい。26年度の成果を論文として、まとめ上げることも最終年度の重要な課題である。また、プロジェクト3年間を総括し、次のプロジェクトに繋がる問題・課題を明確に見極めることにも取り組みたい。過去2年間の経験を踏まえて、互いの興味・アイデアを伝える ことのできる場を継続的に作り出すことも新しい発見を得るために肝要だと考えている。
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