2014 Fiscal Year Annual Research Report
音響レンズと電磁波を用いた三次元音場のリモートセンシング
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25289125
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山崎 芳男 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (50245263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 靖広 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70333135)
園田 義人 東海大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90117143)
八十島 乙暢 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (90632133)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 音場観測 / LIDAR / 粒子速度 / Schlieren法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではマイクロホンの存在による音場への影響を排除した三次元音場測定を実現する研究を行っている。 2014年度はビームスプリッタと鏡を用いて参照光と,剛壁に反射した音場を通過してきた音情報を含む光との干渉を観察する屈折法,レーザ光の焦点位置近傍の空気密度勾配により生ずる光のわずかな偏向をフォトダイオードで検出する光偏向法,これらに加えて気象観測などに使われているLIDARの原理を利用した音圧と粒子速度の観測,さらにSchlieren法をも知多音波の可視化について研究を進めた。 特にLIDARを応用した方法においては,音場に照射したパルスレーザの後方散乱光を望遠鏡で観測し,光電子蔵倍管(Photo Multiplier Tube: PMT)により観測が可能なことを確認した。 散乱体が空気であるこのでレーザ光の通過するあらゆる領域で散乱が起ここり,パルス光を光源とすることで任意の点の音圧が観測可能であることを示した。パルス光を放射してから観測する時点を選ぶことにより任意の点の音圧が測定可能であることを示した。また複数のレーザの使用やレーザの走査により空間内の多点の音圧が同時観測システムの実現可能性を示した。大気からの散乱光を観測するシステムは現段階において多数回の同期加算が必要であり,非定常な音場の記録には使用できない。信号対雑音(S/N) 悪化の要因として光源の強度が十分でないこと,放射したレーザ光以外の光がノイズとなっていること,測定器内部の雑音による影響などが考えられる。 他方,上に示したような任意の点の観測において,観測点間隔は記録装置の標本化周波数に依存することになる。このことから高速1bit信号処理による記録に関する研究も平行して行ってきた。現在広く用いられているΔΣ変調を用いない1bit直接量子化によりGHzを超える標本化周波数での量子化が現実的なものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の通り2014年度は主にパルスレーザの後方散乱光を望遠鏡で観測するLIDARの原理を応用した測定法についての研究を進めた。音場に向けて照射したパルスレーザの後方散乱光を望遠鏡で観測し,光電子蔵倍管(Photo Multiplier Tube: PMT)により観測が可能なことを確認した。PMTにより観測するLIDARの原理を応用することで音圧の変化を観測することが可能となり,音場の把握の実現性を確かなものにした。 一方,大気からの散乱光を観測するシステムは現段階において多数回の同期加算が必要であり,非定常な音場の記録には使用できない.S/N 悪化の要因として,光源の強度が十分でないこと,放射したレーザ光以外の光がノイズとなっていること,測定器内部における雑音による影響などが挙げられ,光学系の改良および測定器内の雑音の低減による測定のS/Nの改善が必要と考えられる。 また今回提案した3次元音場記録システムを作成し,音場の測定や音楽などの記録に応用していく.特に同期加算が可能である状況において空間内の多点の音圧を観測可能であることを利用して,例えば空間のインパルス応答分布の測定や室内の音波伝搬および反射の様子の解析を行い,空間の音場記録や音場評価への応用が期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は,ひとつのレーザ光源などの電磁波を用いて,離れた場所から空間の任意の位置の音圧,粒子速度を捉えることのできる実用に供しうる収音方法を確立する。音響インテンシティ,音響パワー,音響インピーダンスのリモートセンシング,教室や講堂の明瞭な拡声,遠隔会議,講義などが実現される。音響レンズや反射板で投影された小空聞を光で検出する方法には音波の波長による制約が存在する。そこで音響レンズあるいは反射板と多数のトランスデューサを組み合わせ,観測点に超音波が集中する領域を作り,音波による変動成分を演算により求め音圧と粒子速度を検出するシステムを構築する。音響レンズ(パラボラ)と光センサによる三次元音場リモートセンシングの方法が対象音場全体の観測が可能であるのに対し,本手法は音場内のl点のみの観測とはなるが,波長の長い低い周波数から広帯域の音響信号のリモートセンシングを小型の装置で実現することが可能となる。 耳元の音を増幅する現在の補聴器は,部屋の残響や目的の音以外の雑音を含む音まで増幅してしまい,補聴の妨げとなる場合が多い。聴取対象の音源の近くにマイクを設定するのは一般に困難である。本研究により直接発声者の口元の声を聞く装置の実現も可能である。小型音響レンズあるいは小型パラボラ反射板と光検出による,遠方の一点の音を明瞭に収録する装置が実現し,日常生活のコミュニケーションエイドとして役立てることが可能となる。さらに,この手法をレコードやCD,テープや磁気ディスクなどの記録媒体を非接触,非破壊で読み取り,それぞれの媒体で異なる記録方式に応じて個別のハードウェアによる処理を行うのではなく,ソフトウェアで復調する方法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究を進めるに必要な実験に使用できる,短波長で繰り返し周期の短い,レーザ発振装置が初年度に計画はあったものの発売に至らなかったので,個別部品を収集し自作する方針に切り替えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
個別部品により半導体あるいはYAGレーザ発振器およびその制御系を構築する。
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Research Products
(21 results)