2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25289126
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山田 隆宏 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノエレクトロニクス研究部門, 主任研究員 (00377871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 千春 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (30356589)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 熱力学温度 / 温度計測 / ジョンソン雑音温度計 / ジョセフソン接合 / 超伝導集積回路 / 単一磁束量子回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. IQVNS開発 ジョンソン雑音温度計(JNT)の主構成要素である集積型量子電圧雑音源(IQVNS)の回路開発を行った。IQVNSは測温抵抗体のジョンソン雑音測定のための基準となる高精度電圧雑音源であり、擬似雑音系列発生器、雑音スペクトル強度制御のための可変パルス数増倍器(VPNM)、高精度電圧波形合成のための磁気結合型電圧増倍器(VM)の3要素から成る。本研究ではすべて超伝導単一磁束量子回路により実現し、1チップに集積する。これにより、装置間混信の解消による不確かさ低減化、低コスト化、利便性向上を期待できる。H26年度は、前年度の続きであるIQVNSの3要素回路の改良・最適化から行った。また、要素回路を1チップに統合しIQVNS全体回路を設計し、試作、評価を行った。評価の結果、IQVNSの論理動作・定電圧ステップ特性を一通り確認することができ、バイアス電流設計値を基準に±10~20%と十分広いマージンも得られ、温度測定に必要な特性を得た。完全動作チップを4個得た。
2. JNT装置開発と熱力学温度測定 H26年度は、増幅器などのモジュールを統合し、相互相関法測定系の立ち上げと調整を行った。同時に、増幅器の特性改善の検討も行った。IQVNS用の極低温プローブも開発し、測温抵抗体プローブ、相関法測定系と統合し、IQVNSベースのプロトタイプJNT装置を開発した。開発したJNT装置を使用して、IQVNS素子特性の精密評価・検証を行った。その結果、温度の精密測定に必要な擬似白色雑音特性を確認した。水の三重点の温度場をセットし、その精密測定も開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. IQVNS開発 H26年度までに、IQVNSチップ開発を行い、完全動作チップを4つ得た。いずれも温度の精密測定に必要なスペックを満たすことを確認し、JNT測定装置により温度測定を行うところまで到達した。今後のIQVNSチップレベルの課題として、測定の不確かさ評価のためにIQVNS論理回路部のビット・エラー・レート測定が挙げられる。方針は定まりつつあり、測定用プログラムを作成後、予定通り測定を実施可能と考えられる。以上により、IQVNS開発は順調に進捗している。
2. JNT装置開発と熱力学温度測定 H26年度までに、IQVNSベースのプロトタイプJNT装置を開発し、水の三重点温度測定を開始できた。今年度は温度の精密測定を中心に行う予定である。測定の不確かさ低減のために、EMI低減、商用電源ラインや制御ラインを経由し装置に混入するノイズを抑制するためのバッテリー駆動化と光絶縁等が必要であるが、そのための方針は固まっており部品類も揃っているため、残りの研究期間で問題なく実施可能と考えられる。また、水の三重点に加えて、ガリウム融点の温度測定も行う。これについても温度場は揃っているので、それを使用することで予定通り実施可能と考えられる。以上により、JNT装置開発と熱力学温度測定についても順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
1. IQVNS開発 H27年度は、H26年度までに得られたIQVNSについてさらに最適化設計を行い、動作マージン向上を目指す。また、IQVNSのデジタル回路部のビット・エラー・レート測定を行う。測定用のプログラムが必要であるが、H26年度までに作成した機能試験用のプログラムを拡張することで対応する。
2. JNT装置開発と熱力学温度測定 H27年度は、H26年度までに開発したIQVNSベースのプロトタイプJNT装置を用いて、2種類の温度定点(水の三重点とガリウム融点)の精密測定を行う。測定の不確かさを低減するために、EMIの低減が必要であり、そのために商用電源ラインや制御ラインを経由し装置に混入するノイズを抑制するためのバッテリー駆動化と光絶縁等を行う。測定の不確かさ10 ppmを目指す。
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Causes of Carryover |
H26年度は、液体ヘリウム使用量を抑制し、また海外出張を行わなかったためである。前者については、超伝導回路の評価のために必要であるが、回路の長時間評価を避けて短時間の単純な機能試験に留めたため、消費量が予定よりも少なかった。後者については、日本国内で開催された国際会議に参加したため、海外出張は不要であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度は、超伝導回路のビット・エラー・レート測定を実施する。長時間の評価が必要であり、H26年度に購入しなかった分の液体ヘリウムを購入し使用する予定である。また、海外での国際会議に2件(2名)発表するため、それに使用する予定である。
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Research Products
(2 results)