2013 Fiscal Year Annual Research Report
スロッシングで被害を受けた貯水槽の原因究明とその制振対策に関する研究
Project/Area Number |
25289140
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
平野 廣和 中央大学, 総合政策学部, 教授 (80256023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 尚次 中央大学, 理工学部, 教授 (30162457)
鈴木 森晶 愛知工業大学, 工学部, 教授 (90273276)
丸岡 晃 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30310973)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スロッシング / やや長周期地震動 / バルジング / 制振装置 / 貯水槽 / 実機実験 |
Research Abstract |
模型貯水槽を用いてスロッシングによる液面揺動の把握と破壊に至る過程の把握を行行った。中型振動台に1m×1m×1mの模型水槽を設置し、これに中大案(樹脂製格子)と愛工大案(プラスチックフィルター)の制振装置を付けて性能評価実験を実施し、設置位置、設置深さ、形状の洗い出し等を行い、大型振動台で行う実験の基礎データを構築した。併せて、CFDソフトの改良を実施した。 次に大型振動台へステンレス製パネルタンクの実物貯水槽(3m×3m×3m)を設置し、やや長周期地震動(2~5秒)相当を与えた。ここでは、1次及び2次の固有スロッシングモードでの正弦波ならびに実際の地震動として神戸海洋気象台で観測された地震波(JMA神戸波)のNS方向の変位で50%の揺れとした。さらに、加振方向角をパラメータとして0°,15°,30°,45°と変化させ、この状態でのスロッシング発生のメカニズムの把握と分析・解明、さらには破壊モードに至る確認実験を実施した。 ところでスロッシングは、小さなエネルギーの蓄積によって波高が大きく増大することから、波高と加振振幅との関連等、研究開発のために明らかにすべき項目がある。さらに、貯水槽内の特徴の一つである波高が大きくなって天井や側壁等に波が当たると衝撃力により減衰が付加される事になる。これら非線形含めたスロッシング発生時のメカニズムを把握することも同時に実施した。 本研究により、やや長周期地震動による貯水槽におけるスロッシング現象の発生メカニズムの分析と解明を行い、特に地震波での加振で、パネル間の溶接部にき裂が生じ、水漏れが確認された。このことから大きな地震動によってバルジング等が発生し、パネルが内容液と連動して共振することで貯水槽の破壊に至ることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、平成25年度に大型振動台で正弦波でのスロッシング発生時の液面の揺動と破壊に至る過程の把握を行う予定としていた。ここで、中型振動台において中型水槽(1m×1m×1m)での事前の検討結果から、正弦波ではなく不規則波(実際の地震波形)が、貯水槽の破壊過程に大きく寄与することが判明した。以上の事から、破壊過程を詳細に把握するためには、不規則波を発生させることができる振動台で振動実験を行う事が、研究の達成のために必要不可欠であると判断した。 そのため、「前倒し支払請求」を行い不規則波発生装置を2013年12月に導入し、これを利用して大型振動台で2014年度に予定をしていた不規則波による振動実験を一部行うことができたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
大型振動台を用いて、不規則波でのスロッシング発生時の液面揺動と破壊に至る過程の把握を行う。ここで、実機貯水槽として、2013年度使用したステンレス製パネル式貯水槽の他、FRP製貯水槽、鋼製一体型貯水槽3種類を大型振動台にそれぞれ設置して、振動実験を実施する。 一方、スロッシング対策のための制振装置を実機貯水槽に設置して、その効果の確認も平行して行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画では、平成25年度に大型振動台で正弦波でのスロッシング発生時の液面の揺動と破壊に至る過程の把握を行う予定としていた。ここで、中型振動台において中型水槽(1m×1m)での事前の検討結果から、正弦波ではなく不規則波(実際の地震波形)が、貯水槽の破壊過程に大きく寄与することが判明した。 以上の事から、破壊過程を詳細に把握するためには、不規則波を発生させることができる振動台で振動実験を行う事が、研究の達成のために必要不可欠である。そのため、平成26年度に実施を予定していた「実機貯水槽として利用されているステンレス製パネル式貯水槽の破壊過程の振動実験」を平成25年度中に前倒しに行ためである。 不規則波発生装置(4830制御装置用基本ソフト,(株)島津製作所)は、本来の予定では次年度(平成26年度)に導入の予定であったので、後年度の交付予定額を減額しても研究目的を達成することには、何ら問題はない。
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Research Products
(13 results)