2014 Fiscal Year Annual Research Report
浚渫土防災ブロックを活用した新形式津波防波堤の開発研究
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25289149
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笠間 清伸 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10315111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
善 功企 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任教授 (50304754)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 浚渫 / リサイクル / 高強度 / 大型化 / 固化処理土 / 防災 / 津波 / 消波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究テーマでは,関門航路で浚渫された粘土を用いて浚渫土ブロックを作製し,材料特性を調査した.さらに,作製した浚渫土ブロックを表層部の道路路盤として用いて実験道路を築造し,走行実験により交通荷重の伝搬特性と道路沈下特性を評価した.本研究により得られた結論を以下に示す.1)浚渫土ブロックの一軸圧縮強度は最大で14MPa,曲げ強度は最大で0.8MPaとなった.2)浚渫土ブロックの一軸圧縮強度と曲げ強度は,固化材添加率に関わらず水セメント重量比に支配され,水セメント重量比が増加すると強度は減少する.3)脱水処理土の鉛直応力増加率は,粒度調整砕石のものの7分の1程度となり,平常時において荷重の低減効果がある.4)路盤材に脱水処理土を用いた場合では浚渫土ブロックによる沈下抑制効果がみられた. さらに,防波堤の越流ならびに捨石マウンド内に発生する浸透流を考慮して,捨石の安定重量を提案した.得られた結論を以下に示す.1) ハドソン式の導出を参考に,津波によって防波堤の越流と浸透流が発生したときの捨石の安定重量を求める提案式を導出した.2) パラメトリック・スタディの結果,震災時の最大越流水深である7.2mでの捨石の安定重量は,提案式で算出したものがイスバッシュ式のそれの1.64倍になった.このことは,越流水深が大きいとき,浸透流の効果が無視できないことを示唆する.3) 釜石港湾口防波堤における復旧の効果を検討した.震災時の津波による水位の変化を用いると,必要な安定重量の最大値が26%削減されることがわかった.また,被災前断面では越流水深が2.8mとなったときに崩壊が始まると計算されるのに対し,復旧断面では越流水深が5.0mのときとなった.これらにより,この防波堤における復旧効果が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は,以下の3)と4)を研究実施計画として挙げていた。 3)津波を模擬した防災ブロック併用型防波堤に関する水理模型実験 4)津波・防波堤・直下地盤の三相を考慮した津波防波堤の安定解析 3)に関しては,上記「3.研究実績の概要」で記載したように,ほぼ100%の実験とその成果が得られている。4)に関しても,上記「3.研究実績の概要」で記載したように,津波による越流と直下地盤の浸透流を考慮して防災浚渫土ブロックの安定計算が可能となっている。さらに,その成果が取り入れられ,九州に設置されている津波防波堤の安定性照査において実用的に用いられていることから,3)と4)に関しては,120%程度の研究成果を出すことができているといえ,当初の研究計画以上の進捗していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においては,九州で浚渫された土砂を用いて捨石マウンドならびに消波ブロックなどの防災ブロックを具体的に製造し,本研究で得られた大型浚渫土防災ブロックの形状および有効な設置範囲をもとに,九州の耐津波防波堤の構築することを通じて,実用化に向けたフィージビリティスタディ分析を実施する計画である。
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Causes of Carryover |
定期的な研究打ち合わせの実施,それに伴う研究計画の見直しなどを行うことで,研究費の集中な使用と集中化を行った。また,電子ジャーナルや電子書籍などを積極的に使用して,資料集のための出張の回数を削減した。さらに,次年度に開催されるシンポジウムや国際会議に5編の論文を投稿済みであり,次年度に予想される国内出張と海外出張のために旅費の支出を抑えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度が研究の最終年度ということで,浚渫土ブロックを用いた耐津波防波堤の実用化・実証化に向けて,ブロック製造装置の設計・開発を行う。また,得られた研究成果の公表・広報のために,5編の査読付き論文の投稿,3回の国内シンポジウム発表,2回の国際会議および4回の学会発表を予定しており,効率的な成果の公表と研究費の使用に努める。
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