2014 Fiscal Year Annual Research Report
ペルフルオロ化合物類生成ポテンシャルの測定・評価手法の確立と効率的削減手法の検討
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25289169
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 周平 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (00378811)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ペルフルオロ化合物類 / PFOS / PFOA / FTOH / 測定方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ペルフルオロ化合物類の生成ポテンシャルの測定法として酸化分解法を提案し、下水処理場の処理工程別の試料に適用した。その結果、前駆体からのPFCsの生成を確認し、さらに中間生成体が存在することを明らかにした。さらに、琵琶湖・淀川流域におけるPFCs生成ポテンシャルの一斉調査を実施し、都市水循環系における生成ポテンシャルの存在を示した。加えて、ハイボリュームエアサンプラーを用いた大気の採取を行い、大気拡散したフッ素テロマーアルコール等の存在を確認した。特に8:2FTOHs(フッ素テロマーアルコール類), 6:2FTOHsを比較的高濃度で検出した。これらの物質に紫外線を照射したところ、PFOA, PFHxAなどのPFCsの生成を確認することができた。すなわち、大気に前駆体として拡散したフッ素テロマーアルコール等は、降雨などにより水環境中に移動し、その後、光分解などによって、PFCsとなる経路の一部を示すことができた。 各種排出源対策プロセスにおけるPFCs生成ポテンシャル削減効果の検証では、回分式吸着試験により、産業廃水中のPFHxAを効率的に吸着するイオン交換樹脂を見出した。また、本イオン交換樹脂の再生および再利用条件を検討し、効率的な繰り返し利用の操作条件を示した。また、イオン交換樹脂へのPFHxA吸着に及ぼすアニオンの影響を検討し、それぞれ単体および混合系の濃度別の影響を示した。これらの内容を雑誌論文7件(うち査読付き論文4件)および学会発表5件で国内外の学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前駆物質からのPFCs生成ポテンシャルの包括的な測定・評価法の開発については、酸化分解法および生物分解法ともに順調に進んでいる。タイプの異なる複数の都市水循環系におけるPFCs生成ポテンシャルの存在調査についてもカルボン酸系の汚染地区での調査を終えており、おおむね順調に進んでいる。各種排出源対策プロセスにおける生成ポテンシャルの低減効果の検討についても、イオン交換樹脂を用いた吸着処理と、UVによる分解処理を進めており、こちらも順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
PFCs生成ポテンシャルとして、酸化分解法による分析結果を100%とした際に、実環境下でどの程度の生成が起こっているのかを検討することが重要である。生分解、光分解などの結果と、酸化分解法の結果を比較することで、実環境下での生成量を推定することが可能となる。また、PFOS汚染型の水系においても生成ポテンシャル調査を実施し、発生源が異なることによる生成経路の違いを示す必要がある。
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Causes of Carryover |
標準試薬を節約して利用した結果、経費の一部を次年度に繰り越すこととなった。標準試薬については、なるべく使用直前に購入し、保存期間を短くした方が、より精度高く分析することができるため、このような措置をとった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
標準試薬が足りなくなった時期に、標準試薬類の購入を中心に消耗品として購入を進める。
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Research Products
(12 results)