2013 Fiscal Year Annual Research Report
竜巻発生装置を活用した突風荷重モデルの展開と大規模屋根の被災機構の解明
Project/Area Number |
25289191
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
喜々津 仁密 独立行政法人建築研究所, その他部局等, 主任研究員 (10370694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 泰雄 国土技術政策総合研究所, その他部局等, その他 (70201994)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 竜巻 / 竜巻発生装置 / 風圧実験 / 折板屋根 / 耐力試験 |
Research Abstract |
平成25年度は、竜巻発生装置を活用した低層建築物モデルの風圧実験を実施し、竜巻通過時に屋根、壁及びべた基礎底面に作用する風力特性を把握した。この結果を平成24年に茨城県つくば市で確認された木造住家の転倒被害事例に当てはめ、転倒開始時の風速(82m/s)を推定した。 また、生産施設その他の比較的規模の大きい非住家施設には、鋼板製の折板屋根と角波外壁が一般に設けられることから、折板屋根と角波外壁の耐風性能及びこれらの構成部材の試験データを収集し、強風や突風が作用するときの各部の荷重-変形関係を整理した。 次に張間24m、桁行36m、軒高12mの非住家施設を想定し、竜巻通過時の屋根と外壁の挙動を再現することを目的に、有限要素解析の予備的な検討を行った。このとき、作用荷重と耐力に係る入力データとして上記の風圧実験と荷重-変形関係の結果を用い、鉄骨骨組は弾性ビーム要素、屋根材及び外壁材は等価直交異方性シェル要素、これらの支持部材(胴縁等)はビーム要素又は弾性トラス要素でモデル化した。検討の結果、各部の応力又はひずみの変化が作用荷重の変化と概ね対応しており、解析モデル作成の妥当性を確認した。この予備検討の結果に基づいて、平成26年度に精緻な解析的検討を実施するものとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、大規模な屋根上を竜巻が通過する状況を時刻歴応答解析によって再現し、竜巻による被災機構を解明することを当初の研究目的として掲げている。平成25年度は、被災機構を解明するツールとして有限要素解析を用いて予備的な検討を実施し、解析手法の妥当性が確認できたことから、次年度の本格的な解析実施に向けて研究がおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降は、平成25年度に得られた結果をもとにして、以下の内容について研究を推進していく予定である。また、国内で竜巻被害が発生した際には、必要に応じて現地での被害調査を実施し、建築物等の被害形態の収集を行うものとする。 (1)突風荷重モデルの展開 平成25年度までに竜巻発生装置を用いて実施した風圧実験結果に基づき、竜巻通過時に屋根又は外壁に作用する突風荷重モデルの展開を図る。ここでは、既往の科研費課題で提案した突風荷重の算定式に各実験パラメータでの実験結果を反映させ、周辺状況や屋根の規模等を考慮したかたちで改良する方針とする。 (2)屋根モデルの有限要素解析 平成25年度に実施した予備検討の結果を踏まえて、折板屋根の竜巻による被災状況を適切に再現するための有限要素解析を行う。具体的には風圧実験で得た屋根面の変動風圧の時刻歴データ、折板屋根の構成部材の耐力試験で得た荷重-変形関係のデータを解析モデルの入力値として活用し、時刻歴応答解析を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は精緻な有限要素法解析の実施に先立ち、予備的な解析を行った。したがって、当該解析に係る当初予定額を下回る予算で解析を行ったため、次年度使用額が生じる結果となっている。 平成26年度は、平成25年度に行った予備検討の結果を踏まえて、より精緻なモデルに基づく時刻歴応答解析を実施する予定であり、主にそのための予算として使用する計画である。
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Research Products
(4 results)