2013 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚・粘膜における水分蒸発モデルと乾燥感予測式の開発
Project/Area Number |
25289195
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高田 暁 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20301244)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 乾燥 / 水分 / 皮膚 / 粘膜 / モデル / 被験者実験 |
Research Abstract |
皮膚、眼球、気道における水分蒸発量を予測するモデルを開発し、水分蒸発量の予測値と乾燥による不快感の対応関係を数式化し、室内の温熱環境条件から乾燥感の予測する体系を構築することを研究の目標としている。具体的には、①皮膚、眼球、気道いずれの部位においても、身体の防御機能として存在するmoisture barrierのメカニズムを、可能な限り単純な解析モデルで表現すること、②人体熱モデルのサブモデルとして、皮膚角質層、眼球と周辺組織、気道における局所伝熱モデルを開発し、皮膚・粘膜の蒸発面温度を十分な精度で表現すること、③実験を通じて乾燥感の個体差を類型化し、乾燥感予測式の適用範囲を明らかにすることを研究目的としている。 平成25年度には、以下の項目について検討を行った。 (1)気道における乾燥感の被験者実験と解析モデルの同定:人工気候室を用いた被験者実験により、温湿度条件を変えて、乾燥感申告値、開口部空気温度、口腔水分量の測定を行った。乾燥感申告値と口腔水分量の間に高い相関がみられることを示し、気道での乾燥感と気道内の水分量との関係をモデル化する可能性を示唆する結果を得た。また、既に提案している気道内熱水分移動の解析モデルを改善し、気道開口部の温度の計算値が、被験者実験から得た値に概ね一致すること、気道内での水分蒸発量(計算値)と乾燥感申告値との間に相関関係が認められることを示した。 (2)眼球温度と瞬きの基本的性状の把握:人工気候室を用いた被験者実験により、温湿度条件を変動させ、なおかつ気流速度を変化させた場合の、眼球温度変動と瞬きの相関関係を検討する実験方法およびその解析方法を構築した。 (3)周辺温湿度の変化に対する皮膚含水率の長期実測:複数の被験者に対し、日中の皮膚含水率変化を秋から冬にかけて継続的に実施し、温度・湿度と皮膚含水率との相関を検討し、その特徴を抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していた被験者実験を実行できたため、おおむね順調な進展と自己評価している。特に、気道に関しては、乾燥感の主観申告と高い相関を示す測定可能な量が見出されたことから、乾燥感予測の糸口をつかめたと考えている。眼球、皮膚に関しても、乾燥感予測の道筋を定めるための方法を構築しつつある。皮膚に関しては、長期的な実測調査を実行し、平成27年度以降におけるフィールド調査の予備検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1)被験者実験と解析モデルの構築は当初の計画通り進めつつも、フィールド調査を前倒しで開始することで、問題点の抽出を先行して行う。 2)皮膚・気道・眼球の3方向からアプローチしているが、フィールド調査において、それらを総合的に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
皮膚含水率分布を測定する機器をレンタルしての測定を予定していたが、その時期が遅れているため。その測定の代わりに、乾燥する季節の実態調査を先行して行うのが適切と判断したため。 昨年度に予定していた皮膚含水率分布の測定を平成26年度において行う予定である。
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