2013 Fiscal Year Annual Research Report
エクセルギー理論に基づく人―建築環境・コミュニティ環境システムの解明
Project/Area Number |
25289200
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
宿谷 昌則 東京都市大学, 環境学部, 教授 (20179021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 達 東海大学, 工学部, 教授 (50341475)
齊藤 雅也 札幌市立大学, デザイン学部, 准教授 (20342446)
RIJAL HOMBAHADUR 東京都市大学, 環境学部, 准教授 (20581820)
伊澤 康一 豊田工業高等専門学校, 建築学科, 助教 (60530706)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エクセルギー / パッシブ型技術 / 建築環境 / コミュニティー / 行動的適応 |
Research Abstract |
夏季における変動する環境における熱環境物理量を測定し、それに対応する熱環境改変要求などの申告がどのように関係するかを調べた。その結果、日頃の生活で体験する空間の熱環境(長期の熱的履歴)の相違は、人の温熱知覚に違いを生じさせている可能性があることを示した。また、短期の熱的履歴は過去の6分以内が影響することを明らかにした。(宿谷昌則) 木造住宅の温水床暖房における配管断熱が室内熱環境と資源消費に与える影響についてエクセルギー解析を行った。その結果、例えば屋内が1m、屋外が4mの配管では、保温材をポリエチレンフォーム10mmからウレタンフォーム30mmに変えると、発電所へのエクセルギー投入量が10%削減され、床からの温放射エクセルギー放出量が約2倍になることがわかった。(高橋達) 夏季の北方型住宅において涼房空間となる条件を明らかにするための実測とエクセルギー解析を行なった。その結果、住まい手の室内での想像温度が外気温より高いと温放射エクセルギーが壁から放出され、想像温度が外気温より低いことと冷放射エクセルギーの放出に対応関係が見られた。(斉藤雅也) 関東地域の住宅における温熱環境の実測と居住者の熱的主観申告に関する現場調査を行った。その結果、居住者が気候風土に適応することによって幅広い室内環境に満足していた。快適温度は夏で27.1℃、冬で18.1℃であり、9.0℃の季節差があることが明らかになった。(ホムB.リジャル) ヒトよりもデリケートな動物の反応は温熱環境の良し悪しをより明確に示唆するに違いないと考え、過去に静岡大学において行なわれたマウス実験を、人体エクセルギー収支を援用した数値解析によって追試した。その結果、無断熱・無暖房という条件では、木製はコンクリート製・金属製に比べて積算人体エクセルギー消費が小さく、熱的なストレスが小さいことが確認できた。(伊澤康一)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に述べたように、次の事柄が明らかになってきたため、おおむね順調に進展していると考えている。 1)熱環境物理量の変動性と人の温熱知覚に関係性がある、2)低エクセルギー利用暖房システムの構築において、エクセルギー消費を削減するのに配管断熱は重要な役割を果たす、3)夏季に低めの想像温度を知覚・認識する要因として冷放射エクセルギーが重要である、4)住宅において人の知覚する快適温度には季節差が9℃ほどある、5)木質仕上げの室内表面はコンクリートや鉄に比べて、人体エクセルギー消費を小さくさせる傾向がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1)非定常な熱環境における人体エクセルギー収支の計算が行なえるようにする、2)暖房に加えて冷房について平成25年度と同様の検討を行なう、3)集合住宅コミュニティにおける地域暖房システムについてエクセルギー解析を行なう、4)放射暖房(床暖房)と対流暖房における快適温度の相違を明らかにしていく、5)木質仕上げの室内環境における人体エクセルギー収支計算を非定常状態に関して行なう。 以上を、それぞれの研究者が推進するとともに、1)と5)、2)と3)1)と4)の連携を強めて、総合的な知見が得られるようにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
豊田高専では2013年度までの任期付の職であったため、2014年度から所属する福山大学での研究環境に合わせて測定機器の選定を再考することを意図した。2013年度は主に理論検討と数値解析に特化した研究に取り組んだため、直ちには測定機器を購入する必要がなかった。 2014年4月に着任する福山大学は任期が長いので、2014年の時点で最新式の測定機器を購入し、本研究で活用する。
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