2013 Fiscal Year Annual Research Report
在宅介護環境における臭気の発生メカニズムの解明と有効な対策の考案
Project/Area Number |
25289202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
光田 恵 大同大学, 情報学部, 教授 (40308812)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 臭気 / 在宅介護 / 臭気成分 / 臭気濃度 / においセンサー |
Research Abstract |
本研究では、在宅介護環境の臭気対策に必要なデータを収集することを目的とし、在宅介護環境(要介護者の寝室)の臭気の発生場面、発生状況を調査した。在宅介護環境に関するアンケート調査協力者の中から訪問調査の了解の得られた対象者の自宅に訪問し、間取りの把握と介護状況等のヒアリング調査を行った。訪問調査のデータを基に、要介護者の属性、住宅の間取り等を考慮し、調査対象者を選定した。 要介護者の寝室に、ガスセンサーを設置し、行動記録と対応させて臭気の発生する場面と頻度を調査した。寝室の状況によりガスセンサーの設置数は異なるが、いずれもベッドを囲むようにセンサーを設置した。また、臭気が発生すると考えられるごみ箱付近、台所から調理臭が流れ込む可能性を考え、台所近傍、居室の出入り口付近等にも設置した。介護者には寝室での排泄状況、食事内容、訪問介護の内容、家族の簡単な行動を記録させた。調査は4月~5月に実施し、1件につき3日間測定した。調査の結果、ガスセンサーのピーク時と行動記録と対応させると、おむつ交換時、寝室に隣接するトイレでの排泄時、体位変換時、訪問看護中、ごみ箱の開閉時、要介護者の就寝中に値の上昇が見られることが分かった。ガスセンサーの応答頻度は、尿によるおむつ交換が最も高いが、上昇幅は、便によるおむつ交換または浣腸、トイレ(便)の使用など排便行為に関する内容で大きいことが把握された。 ガスセンターの変動を基に、定常時、おむつ交換時、摘便時、体位変換時、ごみ箱の臭気を採取し、嗅覚測定、臭気成分分析を行った。その結果、ごみ箱(使用済みおむつ入れ)の臭気濃度が高く、寝室のにおいのレベルへ影響を及ぼしている可能性が示唆された。また、摘便時の臭気強度、不快度が高く、硫黄系化合物、酢酸が検出された。この他の臭気発生場面として体位変換において、アセトアルデヒド濃度が上昇する傾向がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
在宅介護現場の環境調査であり協力を得るのが難しい調査であるため、当初予定していた調査対象者数の確保は困難であったが、一対象者において予定していた内容以上のデータが収集できており、研究は順調に進展していると考えられる。 当初はにおいセンサー、ガスセンサーで臭気発生場面を特定することを本年度の目的にしていたが、臭気発生場面を特定し、その場面の臭気の臭気濃度、臭気強度、快不快度、主要臭気成分をある程度把握でき、次年度の目的である臭気発生場面の臭気特性の解明に向け、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、多様な臭気発生場面のあった調査対象者に引き続き調査協力を依頼し、今年度は臭気発生場面の臭気濃度、臭気強度、快不快度、臭気質、臭気成分の測定・分析を行う計画である。しかし、一調査対象者宅で長時間の調査になることから調査が困難な場合も想定し、以前に実施したアンケート調査協力者にも今回の実測調査が可能かどうかを打診をするなど、計画通りの調査が行えるように備える予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度、臭気発生場面の臭気成分分析を行うにあたり、所有のGC/MSにオートインジェクション(島津製作所)を設置し、分析することを計画し、1,150,720円をそれに当てる予定であった。しかし、分析精度の観点から分析会社への分析委託も含め、未知の成分の分析方法を再検討する必要性が生じたため今年度の物品の購入を控えた。 分析精度の観点から分析会社への分析委託も含め、未知の成分の分析方法を再検討し、5月中に分析方法を確定させる予定である。当該研究費は、当初の使用目的通り、分析費用として使用する計画である。
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