2014 Fiscal Year Annual Research Report
過疎地域における廃校・空き家を活用した地域主導型福祉サービスネットワークの構築
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25289210
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中園 眞人 山口大学, 理工学研究科, 教授 (60164208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 幸子 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 助教 (30509526)
牛島 朗 山口大学, 理工学研究科, 助教 (40625943)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 過疎地域 / 廃校 / 空家 / 福祉サービス / 地域主導 / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は、(1) 中国地方3県の全公立小学校の1959年から2010年までの学校数・児童数推移と廃校の発生状況を整理した。また廃校施設の高齢者福祉施設としての活用事例調査をもとに、高齢者通所介護施設・グループホーム・生活支援ハウスとして活用されている複合型施設の使われ方調査により、学校施設を福祉施設として利用する可能性を明らかにした。成果は論文4編にまとめ投稿中・公表済である。 (2)高齢者通所介護の広域基幹施設と小規模施設群のネットワーク運営事例や、社会福祉法人と社協の連携・分担型等の先進的事例を選定し、施設間の機能・利用圏分担のネットワークの成立条件・効果と運用システムを明らかにすることを目的に、山口県萩市と周防大島町を対象に、施設整備の歴史的経緯を整理した上で、各施設の運営方式に関する聞取り調査及び施設平面図・家具配置図の実測調査を行い、予備的使われ方調査を実施した。調査対象の約半数が未調査で、H27年度に継続調査を行う予定である。 (3)山口県の中山間地域における子育て支援施設を対象に、統計データ整理とアンケート調査を行い、1日利用組数の推計をもとに6施設を典型事例として抽出し、利用者アンケート調査を実施し、施設の利用実態と利用圏域の分析を行った。論文執筆中である。 (4)山口市の「地域子育て支援事業」の支援を受けた5施設を対象に、日常的使われ方調査及び講習・イベント時の地域組織の運営支援に関する調査をもとに、地域主導型の施設運営の有効性を検証した。現在論文2編を執筆中である。 (5) 中国地方の放課後学童保育先進都市である宇部市を対象に、全施設の設立経緯・運営方式に関するヒアリング調査及び施設平面図・家具配置図の実測調査を行い、学童保育施設の整備の経緯と現状の全体像を把握した。論文1編にまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、地域の廃校や空き家の民家等の既存建築ストックを活用した、高齢者・子育て支援のための地域福祉拠点整備と施設ネットワーク構築方法論の提案及び過疎地域における自立的な地域主導型の施設整備・運営システムの構築を目的としている。 (1) 小中学校の廃校活用に関しては、これまでに中国地方5県の全公立小学校の学校数・児童数推移と廃校の発生状況を整理した。また廃校活用に関しては、複合型高齢者福祉施設の使われ方調査により、福祉施設として利用する可能性を明らかにした。 (2)高齢者通所介護施設に関しては、山口県萩市と周防大島町を対象に、施設整備の歴史的経緯を整理した上で、各施設の運営方式に関する聞取り調査及び施設平面図・家具配置図の実測調査を行い、予備的使われ方調査を実施した。(3)子育て支援施設に関しては、中山間地域を対象に6施設を典型事例として抽出し、利用者アンケート調査を実施し、施設の利用実態と利用圏構造を明らかにした。また、山口市の「地域子育て支援事業」の支援を受けた5施設を対象に、日常的使われ方調査及び講習・イベント時の地域組織の運営支援に関する調査をもとに、地域主導型の施設運営の有効性を検証した。(4) 放課後学童保育施設に関しては、中国地方5県の全施設を対象にデータベースを構築し、自治体及び小学校区を単位とした整備水準を明らかにした。さらに宇部市を対象に、全施設の設立経緯・運営方式に関するヒアリング調査及び施設平面図・家具配置図の実測調査を行い、学童保育施設の整備の経緯と現状の全体像を把握した。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度は、(1)中国地方5県の公立中学校を対象に、1959年から2010年までの学校数・生徒数推移と廃校の発生状況を調査分析するとともに、昭和の市町村合併が中学校の再編に及ぼした影響に関し、文献資料収集を中心に分析を行う計画である。(2) 高齢者通所介護施設のネットワーク構築に関し、山口県萩市と周防大島町を対象に、各施設の運営方式に関する聞取り調査及び施設平面図・家具配置図の実測調査及び使われ方調査を継続する予定である。さらに社会福祉協議会主導型として位置付けられる山口県平生町を追加し調査を行う計画である。(3)放課後学童保育施設に関しては、宇部市を対象に、施設の種類・面積・利用児童数を指標に典型事例を抽出し、晴天日と雨天日の詳細な使われ方調査を行い、施設の空間機能評価を行う予定である。 H28年度は、(1)高齢者通所介護施設に関し、ネットワーク類型より典型地域を抽出し、サービスネットワークの機能分担・利用圏分担に関するシステム評価を行い、地域特性に対応した連携型の施設ネットワークモデルを構想・提案する。(2)地域主導型運営システムの過疎地域への展開可能性に関し、理論的検討と検証を行う。山口方式(地域主導型整備・運営システム)と過疎地域における放課後学童保育施設と子育て支援施設の整備・運営方式の事例調査結果に基づく比較分析により、「協働」型施設の果たす役割を明確し、施設開設や施設運営に果たす地域組織・個人ボランティアの役割を明らかにする。廃校・民家等を活用し地域組織と連携して子育て支援施設の設置運営を行う自治体・事例を対象に、地域主導型整備運営システムの現状と課題を整理した上で、過疎地域での今後の展開に向けたシステム提案を行う。
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Causes of Carryover |
萩市・周防大島町の通所介護施設現地調査が、交渉等に時間を要し予定通りには進まなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度には、未実施の萩市・周防大島町の通所介護施設現地調査及び新規に計画している平生町の現地に経費を使用する計画。
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Research Products
(32 results)