2013 Fiscal Year Annual Research Report
アジアの都市組織の起源,形成,変容,転生に関する総合的研究
Project/Area Number |
25289211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
布野 修司 滋賀県立大学, 事務局, 教授 (50107538)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アジア / 都市組織 / 建築類型 / ショップハウス / 街区 |
Research Abstract |
北京の朝陽門地区,西安の旧城地区,開封の学院門社区,南京の中華門・門西地区,杭州の姚園寺巷・梅花碑社区について行ってきた調査を整理,補足するとともに,中国都城の系譜についてまとめる作業を行った。臨地調査としては、南京について詳細な調査を行うことができた。北京(燕京-上京臨潢府-中都-大都)に対象を絞り,その起源と変容過程を具体的に考えることで,中国都城の起源,その理念と原像,その変容についての基本的な見取図を描くことを先行させ『大元都市-中国都城の空間理念とその変容』の早期の出版を目標とした。幸い、2014年度の科研費の研究成果発表助成を得ることができ、当初の予定通り刊行できそうである。今年度は引き続き出版へ向けての作業を行うことになる。 臨地調査は,中国都城の基本モデルを生んだ歴代の古都が置かれてきた中核域ではなく,「店屋」の形式を追いかける形で,東南アジアとの境界域に着目した。具体的には、広州について二回の調査を行った。また、四川省の各地に「亭仔脚」(アーケード)をもつ「店屋」を基本形式とする集落の存在を確認し、黄龍渓鎮の調査を行った。マンダレーについて調査を行いたいと考えていたが、調査環境が整わず、雲南省の大理、麗江の予備調査にとどまった。ただ、雲南の諸都市については、およそ中国都市の延長で、都市組織のあり方を把握できるという感触を得た。 中国・インドの境界領域の都市については、引続き検討したいが、2014年度の予定としては、中国・イスラームの境界地域の都市に焦点を当てることになる。ただ、中国とイスラームの境界地域については調査環境が悪いことが予想されるので、中国内の都市の回民居住地区に焦点を当てたいと思っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実績報告に記したように、中国都城の起源,その理念と原像,その変容についての基本的な見取図を描く『大元都市-中国都城の空間理念とその変容』の出版について、2014年度の科研費研究成果発表助成を得ることができ、当初の予定通り刊行できそうであることは申請通りとはいえ、順調であると考える。臨地調査も、南京、四川、広州についてかなりの密度で行うことができた。ただ、インド的都城との関連で、ミャンマーの都市について臨地調査が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は,中国・イスラームの境界地域に焦点を当てるが,上述のように、当初予定した新疆ウイグル地区などについては調査環境が悪いことが予想される。そこで、まず、西安,開封などのこれまで回民地区を対象とする調査をまとめたい。第一に,中国におけるイスラーム都市の系譜を明らかにする。 そして、北京について、「城中村」を中心に回民居住地区について調査を行う。 もうひとつの視点としては,遊牧国家の定着過程に着目したい、中国では内蒙古地区、そして、モンゴルの都市の臨地調査を考えたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
三月に広東省での臨地調査を予定、車チャーター代を20万円予定していたが、新幹線等公共交通機関の利用で調査を行うことができたため。また、文献資料等も予定より費用を要しなかったため。 2014年度に、臨地調査および文献購入費用として使用する予定である。
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