2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25289218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大野 かおる 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (40185343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐原 亮二 独立行政法人物質・材料研究機構, 元素戦略材料センター, 主幹研究員 (30323075)
野口 良史 東京大学, 物性研究所, 助教 (60450293)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 全電子混合基底法 / 第一原理計算 / プログラム開発 / プログラム公開 / ハイブリッド並列 / 自己無撞着GW近似 / 自己無撞着GWΓ法 / 全エネルギー |
Research Abstract |
プログラムの統合に向けて、任意の斜方結晶に適用できるMPI+OpenMPハイブリッド並列バージョンのTOMBOに (1)Broyden法+RMM-DIIS法+Davidson法による電子状態の収束高速化ルーチン、(2)電子状態収束ループにおけるBroyden法による電荷密度混合ルーチン、(3)Broyden法による構造最適化ルーチン、(4)状態密度とフェルミ準位を計算するルーチン、(5)斜方格子結晶のone-shot GW近似計算ルーチン、(6)自己無撞着GW近似における全エネルギー計算ルーチン、(7)2nd exchangeなどのバーテックス補正を取り入れた自己無撞着GWΓ法などの実装を行った。また、(8)原子球内ポテンシャルのChebyshev多項式によるフィッティングによるポテンシャル行列の計算の高速化、(9)斜方格子系に対して三角関数の計算を多用する3次元(Fourier成分)⇔1次元(動径方向)フーリエ変換の高速化、この内、(1)-(3)は以前金属材料研究所の助教授だったMarcel Sluiter氏(現:デルフト工科大学准教授)がTOMBOの開発のために独自に作成していたものを移植する作業で、別予算の支援も受けて企業委託により行った。具体的には日立ソリューションズ東日本に委託し、同社の安達斉氏との共同で移植作業を進め、平成25年8月末には作業が完了した。(4), (5)は旧バージョンから大野が移植した。(6), (7)については、社会人ドクターコースの桑原が作業を行った。(6)はインプリメントが完了してLi2に対するベンチマークテストを行った。(7)は一部の計算部分に不具合があり、平成26度末までには完成させる予定である。(5), (6)は小野が新規に多数のサブルーチンを作成してインプリメントし、平成25年11月頃までにほぼ完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)Broyden法を用いた電子状態の収束と構造最適化が可能となり、計算効率が大幅にアップした。(2)状態密度とフェルミ準位の計算から金属のバンド計算が出来るようになり、Al やCu, Niなどのバンド計算を行い、計算精度を確かめた。(3)斜方格子結晶のGW近似計算が可能となり、ルチル構造のTiO2結晶およびNb不純物を含むTiO2結晶のGWバンド計算に成功した。(3)Chebyshev多項式ポテンシャル・フィッティングによる行列要素計算部分の高速化と斜方格子系に対する3次元⇔1次元フーリエ変換の高速化により、計算時間を大幅に短縮できた。(4)様々な結合長のLi2 に対するGW全エネルギーの計算に成功し、最適結合長の場合にvirial定理(ポテンシャルエネルギーと運動エネルギーの比が-2になるという定理)を0.04%の誤差で満たすことを確認した。結合長が離れた場合の漸近的振る舞いは良好で、GW近似が分散力の記述に向いていることが分かった。(5)バーテックス補正を取り入れたGWΓ法のプログラムがほぼ完成しつつあり、Naクラスターの計算を行っている。まだ2nd exchangeの計算ルーチンに不具合があるので、この部分のプログラムを慎重に修正することにより、TOMBOにより、これまで誰も行って来たことのないGWΓ法+Bethe-Salpeter方程式による夢の高精度計算が実現できる可能性が見えて来た。TOMBOの普及活動としては、平成25年度には、7月5日にTOMBOセミナー(東京駅八重洲北口サピアタワー10階 「東北大学」東京オフィス)、7月22日-23日にTOMBO Workshop(タイ、スラナリ工科大学)、8月22日にTOMBO 20周年記念研究会(東北大学)、11月8日にTOMBO Tutorial(東北大学、ACCMS-VO8)などを開催した。
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Strategy for Future Research Activity |
全電子混合基底法TOMBOは開発からかなりの時間を経過したが、このようにいろいろな形で開発・整備・応用が進んでいる。平成25年12月から平成26年3月中旬まで大野が病気で仕事を中断したために、平成25年度中に予定していたTOMBOのLDA部分の一般公開は時期を遅らさざるおえない状況にあるが、平成26年度に入ってからすみやかにTOMBOのLDA部分の公開に向けた準備を進めていきたいと考えている。平成26年度は、TOMBOの自己無撞着GWΓ法プログラムにおける2nd exchangeの計算ルーチンの不具合を修正して、バーテックス補正を取り入れたWard恒等式を満たす自己無撞着GWΓの精密計算を可能とし、それを元にBethe-Salpeter方程式を解くことによって、Naクラスターなどの光吸収スペクトルの精密計算を行っていきたい。また、TOMBOのGW+Bethe-Salpeter方程式の方法を芯電子スペクトル計算にも拡張し、実験のXANESスペクトルに対応する芯電子光吸収スペクトルの計算なども行っていきたいと考えている。さらに、FORTRAN77で書かれたTOMBOの前進プログラムから2次摂動計算に基づく半導体や絶縁体の反磁性帯磁率(一様磁場に対する均一応答計算)計算ルーチンを移植するとともに、NMR化学シフト計算(一様磁場に対する原子核位置での局所応答計算)ルーチンのインプリメントを行い、完成させる予定である。さらに、TOMBOの結晶のGW計算などで必要となる、第一ブリルアン帯内での(自己無撞着ループの)special point, (バンド出力の)k点, (運動量移行の)q点の自動生成プログラムを完成させたい。また、余裕があれば、力の計算から直接法(direct method)によりフォノン分散曲線を簡単に描くことのできるルーチンを移植したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度内に全額を使い切る予定であったが、最終的な使用金額の集計時に研究代表者が病気で入院したため、端数が残ってしまった。 残額を次年度予算と合わせて、研究目的に合致した計画に沿って使用していく予定である。
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[Presentation] The almighty first-principles program, TOMBO2013
Author(s)
K. Ohno, R. Kuwahara, S. Ono, Y. Noguchi, R. Sahara, H. Mizuseki, and Y. Kawazoe
Organizer
The 7th Conference of the Asian Consortium on Computational materials Science (ACCMS7)
Place of Presentation
Nakhon Ratchasima, Thailand
Year and Date
20130723-20130728
Invited
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