2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25289218
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大野 かおる 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40185343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐原 亮二 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (30323075)
野口 良史 東京大学, 物性研究所, 助教 (60450293)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 全電子混合基底法 / 第一原理計算 / プログラム開発 / プログラム公開 / ハイブリッド並列 / 自己無撞着GW近似 / 自己無撞着GWΓ法 / 全エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
密度汎関数理論を超えて、多体摂動論のGreen関数法に基づくone-shot GW近似に基づいて、TiO2やZnOのTOMBOによるバンド計算を行い、ルチル型のTiO2についてはNb原子を不純物として導入した系の電子状態を計算した(論文投稿中)。自己無撞着GW近似のTOMBOへのインプリメントを完成させるとともに、von der Linden-Horschのプラズモン・ポール近似の範囲内で、Luttinger-Ward汎関数Φ[G]を勘弁に評価する方法を発見し、それをインプリメントし、全エネルギー計算を可能とした。そして、そのプログラムを用いてvirial定理(ポテンシャルエネルギーと運動エネルギーの比が-2になるという定理)の検証を行った。様々な結合長のNa2 などに対する自己無道着GW全エネルギー計算を行い、最適結合長の場合にvirial定理を0.04%の誤差で満たすことを確認することが出来た。また、He2の結合長が離れた場合の漸近的振る舞いは良好で、GW近似が分散力の記述に向いていることを確かめることが出来た(日本物理学会秋期大会)。さらに、この計算手法用いて、B2, Al2, Si2の最安定スピン配置を求めることに成功した(Mod. Phys. Journal B)。自己無道着GW近似においては、一般に自己エネルギーはエネルギー依存性を持つことから、非エルミートであり、取り扱いが難しい。そこで、この問題を取り扱うべく、我々は自己エネルギーをエネルギーについて線形化する全く新しい計算手法(linearized GW, LGW法)を提案し、インプリメントするとともに、そして、このプログラムを用いて幾つかの具体的な計算を行った。さらに、2nd exchangeなどのバーテックス補正を取り入れた自己無撞着GWΓ法のインプリメントをほぼ完了しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
von der Linden-Horschのプラズモン・ポール近似の範囲内で、Luttinger-Ward汎関数Φ[G]を勘弁に評価する方法を発見したことと、自己エネルギーをエネルギーについて線形化する全く新しい計算手法(linearized GW, LGW法)を見出したことは本研究における大きな成果である。それらをTOMBOにインプリメントした自己無撞着GW法に関する英文学術論文が3報掲載された(その内の1報はLGW法の提案に関するものである)。また、TOMBOへのGWΓ法のインプリメントを完了し、試験計算を行う段階に入った。さらに、one-shot GW近似に基づくTiO2, ZnOなどの計算やNb不純物を含むTiO2の計算を完了し、論文投稿中であり、おおむね計画通り順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
全電子混合基底法プログラムTOMBOは完成に近づいた。特に、GWΓ計算が動くようになれば、電子相関の強い系への適用も夢ではない。そこで、まず、GWΓ法による簡単な系での準粒子エネルギーや光吸収スペクトル計算を行い、その真価を見極める必要がある。平成27年度はまず、これに取り掛かりたい。また、それと同時に、one-shot GW近似においても、遷移金属酸化物系などでは、plasmon pole modelが使えない場合があるので、自己エネルギーのω積分をちゃんと評価するルーチンを組み込みたい。さらに、TDDFTダイナミクス・シミュレーション部分の実行確認をきちんと行っていきたい。また、イオンの取り扱い、励起電子配置の取り扱いなどについても、フラグで簡単に制御できるようにプログラムを改良する予定である。これらを終えて、いよいよ、TOMBOのLDA部分のソース公開に踏み切る予定である。
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Causes of Carryover |
学術研究助成基金助成金には昨年度から9,047円の残金があったが、今年度これを消費しなかったため、次年度に繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画遂行上必要となる消耗品を購入する予定である。
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Research Products
(20 results)