2015 Fiscal Year Annual Research Report
変調ドープと結晶粒径極微制御による高移動度・低熱伝導率ナノシリコン熱電材料の創成
Project/Area Number |
25289220
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒崎 健 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90304021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石丸 学 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00264086)
内田 紀行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (60400636)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 熱電変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
シリコン(Si)は、毒性が低い、p型・n型の制御が容易、低価格で高品質な材料が入手可能といった多くの利点を有する一方で、バルクSiの熱電変換性能指数(ZT)は最大でも0.2程度しかなく、実用化の目安であるZT = 1には遠く及ばない。この原因は、軽元素・単純結晶構造・共有結合に起因する高い格子熱伝導率と高ドープ領域におけるイオン化不純物散乱に起因する低いキャリア移動度にある。 そこで、本研究では、高ドープしたSiGe合金から超高純度Siに対して変調ドープを施すとともに、両者の結晶粒径をナノスケールで精密に制御することを試みる。これにより、イオン化不純物散乱に起因する低キャリア移動度と、軽元素・単純結晶構造・共有結合に起因する高格子熱伝導率といったSiが本来有する熱電材料としての致命的な二つの欠点を一挙に解決できると考えている。 今期に得られた成果のうち、代表的なものの概要は、以下の通りである。Si中にサブミクロンスケールで分散した第二相が熱電特性に及ぼす影響を調べることを目的として、Si-VSi2コンポジットを作製し、各種熱電特性を測定・評価した。液体急冷の冷却速度を制御することで、分散するVSi2のサイズや分散状態を制御する手法を確立した。Si中にVSi2を均一分散することで、電子、フォノンともに散乱され、試料の電気伝導率、熱伝導率ともに減少する結果となった。しかしながら、熱伝導率の低減のほうが電気伝導率のそれよりも若干大きかったため、結果、Si-VSi2コンポジットはSiよりも高い熱電変換性能指数ZTを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変調ドープを実現するためには、Si中に存在する第二相が種々の熱電特性に及ぼす影響を正確に把握しておく必要がある。平成27年度は、当初の予定通り、Si-VSi2系を用いて関連する研究を遂行し所定の成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りSiに対して変調ドープを施すことでZTの大幅な向上を試みる。一方、Siに類似した半導体的特性を示すGeについても同様の研究を行うことで、三次元バルク変調ドープの原理実証も試みていきたいと考えている。
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Research Products
(12 results)