2013 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー照射活性場を援用した回転CVDによるナノ構造制御触媒材料の開発
Project/Area Number |
25289223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 孝 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (60125549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 暁彦 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20451635)
且井 宏和 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (70610202)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 回転式CVD / 高分散担持 / ナノ組織 / ニッケル触媒 / レーザーCVD / メソポーラスシリカ / ゼオライト |
Research Abstract |
本研究はレーザー反応活性場における回転式化学気相析出(CVD)により触媒粒子と担体の双方のナノ組織を制御し、高活性触媒機構を創製することを目的とする。平成25年度は、まず、回転式CVDによりNiナノ粒子の高分散担持プロセスを構築することに焦点を置いた。合成温度、前駆体や反応ガスの供給条件および炉内圧力などの各種CVD条件や、担体の材料、サイズおよび微細構造がNi粒子の組織や触媒性能に及ぼす影響を調べた。 まず、担体をAl2O3としたとき、合成温度823 Kで平均粒径が80 nmの微粒子からミクロンサイズのAl2O3担体粒子の表面に数nm-数十nmのNi粒子を担持することができた。これらのNiナノ粒子は粗大化または凝集することなく高分散した。80 nmのAl2O3に担持したNiナノ粒子のメタンガスの水蒸気改質実験では、従来のNi系触媒に比べて2倍以上高い触媒能を示した。 本プロセスによるNiナノ粒子は担体材料が炭化ケイ素や窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ホウ化チタンなど種々のセラミックス担体粒子上にも合成でき、そのうち窒化アルミニウムや立方晶窒化ホウ素ではNiナノ粒子とともにカーボンナノチューブ(CNT)が形成することを見出した。さらに、メソポーラスシリカやゼオライトなどの多孔質体や規則構造体へのNiナノ粒子合成を行った。特にメソポーラスシリカでは、数十nmの細孔内へもNiナノ粒子が担持でき、このNi/メソポーラスシリカの触媒能は従来のNi系触媒の報告値の5倍に達した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、まず、回転CVDによるNiナノ粒子の合成および高分散担持することに焦点を絞り、最終的な目標のレーザー照射場における回転CVDプロセスの開発及びそれを用いた高機能触媒の創製を行うための基盤となる知見と技術を構築できた点は当初の計画通りといえる。既にレーザー照射場を導入する準備が整っており、予備実験のなかで特異なナノ組織を合成できることを確認出来ている点は、平成26年度で主眼となる触媒および担体のナノ組織制御に向けての視界は開けていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、担体粒子のナノ組織制御に重点を置き、回転CVDにレーザー照射場を導入することで、本課題の進行を加速させる。既に、レーザーCVDによりAl2O3やSiO2を合成し、これらが羽毛状組織や樹枝状組織などの特異なナノ組織を示すことを見出している。基本的には、この技術を担体粒子表面に応用するものであるので、これまで得てきた経験を生かしてスムースに進めることができると期待している。また、担体粒子のナノ組織制御を広範合成条件で系統的に行う一方で、特異なナノ組織を有する担体へのNiナノ粒子の合成を同時進行する。構造解析、触媒性能評価を通して、これらと担体のナノ組織や合成条件と照らし合わせ、In-situでフィードバックすることが重要と考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進捗は当初の計画通りであり、それにともなう成果報告やそのための旅費の項目についてはほぼ当初の計画通りに計上している。物品費で次年度分が生じた理由は、主に試料作製に用いるCVD装置やCVD原料に関わる経費が計画よりも抑えられたことにある。CVD装置に関しては、装置の状態が極めて重要である。当初は、本課題の初めから新しい反応炉機構を導入する計画であったが、本課題の導入部分では使用経験が豊富で、真空系を含めた装置状態が極めて良好である研究室保有の装置を使用する方が、研究全体がスムースに進むと判断した。結果的には、所望の基盤となる知見を得られた。本課題の最終的な目標のためには、レーザー導入機構や新規の回転反応管を導入する必要があるため、これらの経費は次年度に計上することとした。また、排気系ポンプや配管部品など交換時期は不定期であり、25年度は当初の計画よりも少額であった。 本課題の最終的な目標のためには、現状のCVD装置にレーザー導入機構や新規の回転反応管を導入する必要があるため、これらの経費は26年度で使用する。また、25年度の真空系部品の交換は比較的少額であったが、その分は26年度に交換する必要がある。以上のように、平成26年度請求額とあわせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)