2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25289227
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
柿本 健一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40335089)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環境材料 / セラミックス / 電子・電気材料 / 無鉛圧電体 / ドメイン構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、未解明かつこれまで積極利用されなかった斜方晶系由来の60oドメイン構造をニオブ系無鉛圧電セラミックスの分極性能向上に活かすことを目的としている。昨年度はニオブ系無鉛圧電結晶を育成し、走査型顕微ラマン散乱分光測定によって局所的なドメイン構造およびドメイン壁にそれぞれ相当すると推定される特徴的なラマンシフト等を見出した。 そこで27年度は同解析手法を分極条件が異なるニオブ系多結晶セラミックスに応用することを開始した。その際に重要となるドメイン観察試料の作製について、バンドギャップを超えるエネルギーをもつ紫外線をアシスト照射した場合に、試料表面層から紫外線励起電子が放出され、湿式エッチング反応が促進されることを新たに見出した。一方、分極面に対して電極作製面を各種傾斜させたテストピースを作製したところ、計測される電界誘起歪みに複数の異なる圧電振動モードやニオブ系特有の非180oドメイン構造が寄与することを明らかにした。これらの知見を基に、ニオブ系無鉛圧電セラミックスのドメイン壁近傍のラマン散乱スペクトルにおける強度の増加とピークシフトを精密解析し、二次元かつ局所的な結晶対称性や自発分極方位の変化について議論可能とした。特に、NbO6八面体の伸縮振動モードを含む600 cm-1付近において、分極試料ではラマン散乱スペクトルにおける強度変化やピークシフトを明瞭に確認することに成功し、セラミックス試料面に渡るドメイン壁と電場印加方向とのなす角度について統計分布を調べることを可能とした。すなわち、セラミックス粒子内のドメイン壁の評価に顕微ラマン散乱分光法が応用できる見通しを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画通りに進捗しており、次年度の研究計画へと順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
ドメインウォール近傍の構造と圧電特性との関係について詳細に調査し、各種高負荷条件下の材料評価を進め、最終的にニオブ系無鉛圧電セラミックスの性能向上に向けた新たな指針を獲得する。
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