2013 Fiscal Year Annual Research Report
Beyondグラフェンを目指した新規原子膜技術の開発
Project/Area Number |
25289232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
長田 実 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 准主任研究者 (10312258)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノシート / 原子膜技術 / グラフェン / 2次元電子状態 |
Research Abstract |
次世代エレクトロニクス、さらには「Beyond Moore」デバイスの開発を目指した新しい試みとして、層状金属酸化物の単層剥離により得られる分子シート「酸化物ナノシート」に注目し、グラフェンを凌駕する新規原子膜材料の開発を行った。 これまで開発した酸化物ナノシートにおいて、精密ドーピングによる特性制御を実現し、ナノシート単体として高い電子移動度を有する高伝導性ナノシートの探索を行った。半導体性を有する酸化チタンナノシート(Ti0.91O2)および酸化マンガンナノシート(MnO2)に対し、第一原理計算に基づく材料設計により、種々の元素置換によるドーピング効果やバンド構造の制御を行い、金属状態、高電子移動度を示すナノシートの開発を進めた。その結果、Nb5+, W6+, N-, F-を置換した酸化チタンナノシート、Nを置換した酸化マンガンナノシートでは、金属状態が実現することを明らかにした。 酸化物ナノシートの特性制御技術さらには新しい原子膜開発のもう一つの試みとして、グラフェンでは実現しえない高い誘電機能を有するナノシートの開発とその応用を進めた。申請者が最近見出した高誘電率(ε =210)を示すペロブスカイトナノシート(Ca2Nb3O10)を対象に、元素置換や分極構造の最適化を行った結果、CaLaNb2TiO10ナノシートがε =270の高い誘電率を有することを確認した。さらに、伝導性および誘電性の2種類の酸化物ナノシートを積み木細工のようにサンドイッチ構造に堆積することにより、現行素子の特性を凌駕する世界最小の高性能コンデンサ素子の作製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度当初の目的としていた高伝導性ナノシートの開発に成功すると共に、次年度の課題についても一部前倒し的に進め、多くの成果を得た。伝導性、誘電性ナノシートの超格子集積による世界最小の高性能コンデンサ素子の開発など、当初予期せぬ発見、成果もあり、当初計画以上の進展する課題もあった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画と特段変更はないが、申請者グループに新しいポスドク研究員、博士課程学生が各1名加わることになり、彼らの参画により研究が加速できるものと期待している。
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