2013 Fiscal Year Annual Research Report
液性と電位可視化による鋼のすき間腐食潜伏期間の素過程解明と新高耐食化原理の導出
Project/Area Number |
25289257
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武藤 泉 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20400278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 信義 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40111257)
菅原 優 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40599057)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 材料加工・処理 / 腐食防食 |
Research Abstract |
水素イオン濃度(pH)と塩化物イオン濃度分布を同時に計測できる蛍光イメージングプレートの開発に成功した。まず、塩化物イオン検知蛍光試薬としては、既に当研究グループで発見済みの硫酸キニーネを使用した。水素イオン濃度に感応する物質としては、ある種の金属錯体が、青色の蛍光を出すキニーネとは異なる緑色の蛍光を生じ、その強度がpHに依存して変化する特性を有していることを見出した。そして、このpH感応物質を硫酸キニーネと混合し、ゾルゲル法により石英ガラス表面に薄くコーティングした。製膜の過程で、このプレート内にある種の有機物を含有させると、膜中の試薬が水溶液の液性に感応し、発色しやすくなることを見出した。得られた蛍光イメージングプレートを用い、ステンレス鋼のすき間腐食発生過程の液性変化を計測したところ、腐食発生部に水素イオンと塩化物イオンが濃縮していることが確認された。 すき間腐食の防止は、地熱、海洋波力・潮力、バイオマスなどの再生可能エネルギーに立脚した持続可能社会の構築に不可欠な技術課題である。このため、今後は、すき間腐食の潜伏期間内に起きている物理化学現象の解明を行う。特に、酸化還元試薬を用い、電位分布の可視化技術も開発を目指す。これにより、すき間内に局所的に形成される強腐食性域と、そこに生じる腐食萌芽(微小ピット)を死滅させる方法を見出し、微量元素の添加により腐食の潜伏期間を飛躍的に延ばす新しい高耐食化技術の開発を試みる。高耐食化元素の探索は、傾斜組成スパッタ膜を用いたコンビナトリアルアプローチにより効率的に行うことを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記載していた平成25年度の目標である「水素イオン濃度(pH)と塩化物イオン濃度分布を同時に計測できる蛍光イメージングプレートの開発」に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
電位分布計測用イメージングプレートを開発し、汎用ステンレス鋼のすき間腐食潜伏期間の腐食過程と支配因子の解明に取り組む予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、平成25年度のpHと塩化物イオンの同時イメージングにおいては、フルカラーの画像解析ソフトやハードの導入が必須ではないかと考え、平成25年度に当該設備を購入することを計画していた。しかし、研究を進めた結果、pHと塩化物イオンの同時イメージングには画像解析は不要であるが、平成26年度に予定している電位イメージングにおいてこそ高度なフルカラー画像解析システムの導入が不可欠であることが判明した。そのため、拙速にシステムを導入することはやめ、充分に仕様検討を行い、次年度以降に導入することしたため。 電位イメージング用のフルカラーの画像解析ソフトやハードの導入に使用する。
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Research Products
(1 results)