2014 Fiscal Year Annual Research Report
高温融体の過冷却凝固・組織形成プロセス解析システムの創製
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25289273
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塚田 隆夫 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10171969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 博之 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40252259)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高温融体 / 合金 / 過冷却凝固 / 相分離 / 熱流動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,合金の過冷却凝固プロセスの最適操作条件や設計指針の探索を援用する,静磁場重畳電磁浮遊技術とマルチスケールシミュレーション技術からなる“高温融体の過冷却凝固・組織形成プロセス解析システム”を構築し,さらに当該システムを利用することにより,CuCo等の過冷却融体の凝固プロセスを対象として,“プロセス-凝固組織構造の相関”を明らかにすることを目的とする。本年度は以下の項目を実施した。 (1) 当該システムに設置された高速度ビデオカメラを利用して,Cu80Co20合金融体からなる電磁浮遊液滴試料の過冷却凝固過程のin-situ観察を行った。結果として,過冷却域で相分離したCo-rich相の凝固に伴うリカレッセンスが観察でき,その様相は静磁場強度1.5T付近を境に大きく異なることが分かった。以上の観察結果は,静磁場強度1.5T付近を境に相分離構造が大きく変化することを示唆している。また,相分離Co-rich相液滴をトレーサーとして測定した浮遊液滴試料の表面流速測定結果及び浮遊液滴内対流の数値シミュレーション結果を,Hyersら(2003)の電磁浮遊液滴内MHD対流に関する乱流-層流遷移Re数と比較したところ,1.5T付近で試料内対流が乱流から層流に遷移することが分かり,この流動状態の遷移により相分離構造が大きく変化することが明らかになった。 (2) 当該システムを利用し,CuCo合金融体の垂直分光放射率に及ぼす温度及びCu組成の影響を測定した。結果として,Cu組成が20~80at%のとき,垂直分光放射率の組成依存性は小さいが,Cu組成が80at%を超えると急激に減少することがわかった。また,これらの組成依存性は,自由電子の光学応答に関する古典的モデルであるDrude modelによりある程度説明できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で述べたように,システムのハードの部分の整備,及びこれを利用した各種測定については順調に進み,予想以上の成果が得られていると判断するが,マルチスケールシミュレーション技術の各要素モデルの開発が遅れていることを考慮し,全体としての評価を(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の点を重点的に検討する予定である。 (1) 高温融体の粘性率測定に関し,磁場存在下での浮遊試料の表面振動挙動を数値シミュレーションにより検討し,得られた知見に基づき測定手法の開発を進める。 (2) 前年度に引き続き,マルチスケールシミュレーション技術の構成要素モデルである融体内熱流動シミュレーションモデル,相分離・凝固組織形成シミュレーションモデル,及び両者を繋ぐ”橋渡し”モデルの精緻化を行う。 (3) 前年度に引き続き,溶融CuCoを対象として,(a)熱物性値の測定及び(b)印加静磁場強度(試料内対流の強度及び構造)を変化させて,過冷却凝固過程及び凝固組織構造を観察するとともに,(2)のモデルを利用した数値シミュレーションを実施し,実験と解析結果の比較から,プロセスと凝固組織構造との相関を検討する。
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Research Products
(3 results)