2014 Fiscal Year Annual Research Report
サブミクロン細孔を有する非対称多孔質膜基材によるポアスルー触媒膜反応
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25289278
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
伊藤 直次 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90356478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 剛史 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60375524)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ポアスルー触媒 / 選択反応 / 接触時間 / シクロヘキセン / 脱水素反応 / 逐次反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
サブミクロン細孔層への触媒担持を行い、細孔内を短時間で通過させることで、反応選択性を向上させることを、より明確にするために、昨年度の酸化脱水素反応の代わりに単純脱水素反応を取り上げた。こうしたポアスルー触媒膜では、滞留がなく滞在時間の均一性が高いことが期待される。このことは充填触媒と比較して、A→B→C型の逐次反応においてBをより選択的に得るには適しているはずである。 具体的な反応としてシクロヘキサンの脱水素反応に関して試験を行った。その結果、中間生成物であるシクロヘキセンの選択率に注目すると、充填型反応器では、ほとんど生成が観測できず選択率はほぼゼロであった。それに対して、ポアスルー触媒膜では転化率はやや小さいもののシクロヘキセンの生成が見られ、その選択率は反応原料の供給速度を増やすにしたがい高くなることがわかった。これは、反応物が触媒担持された細孔層を通過するに要するいわゆる接触時間を短くすることができたからであり、本課題が狙うところの反応時間のより正確な制御の実現が可能なことの証しと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度行った酸化脱水素反応の選択性向上に加えて、本年度は単純逐次脱水素反応における中間体の選択的合成を試みた。中間体は相対的に不安定であり脱水素し易いことから、反応時間すなわちポアスルー触媒膜との接触時間を均一にすることで選択率を向上させるべきである。 加えて、ゼオライト孔中での分子ふるい的反応についても着手し、MFI型ゼオライト膜合成とそれを利用したp-キシレンの選択的合成の可能性がある。 このような指針のもと、触媒膜作製と反応実験を行ったところ、構想通りに選択性を高めることができる可能性を見出していることから、本研究の進捗は順調であると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ポアスルー触媒膜の特徴であるより反応時間の均一な制御性は、従来の充填触媒とは異なる反応特性を有する。この原理を各種反応へ応用することで充填触媒では達成できない反応選択性を得る可能性が高い。実際に脱水素反応一定の成果を得ることができた。しかし、この反応はいわば1分子反応であり、反応が2分子以上で構成される場合はどうなるかは不明である。 そこで、今後はベンゼンの水素化反応のように2分子反応に対して。本ポアスルー触媒膜法を適用していかなる反応経路となるかを追跡していく。加えて、ゼオライト膜を利用したp-キシレンの選択的合成についても実証を目指す。
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Causes of Carryover |
反応炉の温度制御器を購入する予定であったが、代用できる機器があったため経費が不要になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
非常勤研究員の雇用に充てる。
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Research Products
(3 results)