2014 Fiscal Year Annual Research Report
海洋バイオマスの亜臨界水分解特性の解明と燃料変換の基礎研究
Project/Area Number |
25289280
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
佐古 猛 静岡大学, 工学研究科, 教授 (20324329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡島 いづみ 静岡大学, 工学研究科, 助教 (40436910)
孔 昌一 静岡大学, 工学研究科, 准教授 (60334637)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海洋バイオマス / 亜臨界水 / 燃料変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
大部分の大型藻類は大量に存在する未利用資源であり、難分解性のリグニンを含まないといった長所を持っている半面、海底で低密度に存在するので栽培や収集が困難、含水率が高い、海藻特有の難分解性多糖類を含有するといった課題がある。本研究では海洋バイオマス中の大型藻類から、複数のクリーン燃料をカスケード生産するための基盤技術を開発する。平成26年度は大型藻類であるホンダワラのガス化を検討した。その結果、触媒として水酸化カリウムを用いると、700℃、5MPaの高圧過熱水蒸気中でガス化を行うと、反応時間30分まではガス生成量が増加し、30分では有機物1g当たり2.1Lの水素、0.2Lのメタン、0.3Lの二酸化炭素が生成した。この時ガス化率は90%だった。またマイクロ波加熱装置を用いてアオサを加水分解したところ、反応時間30分ではグルコース、キシロース、5-ヒドロキシフルフラール及びフルフラールの収率はいずれも200℃の条件で最大値をとることが明らかになった。耐熱性陽イオン交換樹脂としてRCP145Hを用いて溶媒特性と酸強度の決定を試みた。また100L の大型水槽を用いた大型藻類(サガラメ)の浮遊培養では、添加する養分によって固体中の炭素割合が増加する傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は(1)大型藻類の高密度・高生長栽培技術の開発、(2)亜臨界水+固体酸触媒の溶媒特性と酸強度の決定、(3)亜臨界水+酸触媒により大型藻類を加水分解した時の反応特性の把握、(4)大型藻類から複数の燃料を連続的に生成するためのカスケード式反応プロセスの開発を予定していた。その中で、大型藻類を高密度・高生長栽培するために、浮遊培養技術を用いて添加物を考慮することで藻類栽培において炭素割合が増大できる可能性を見出した。溶媒特性と酸強度の決定に関して、データのばらつきが大きいことから、いかに安定してデータを採取するか検討を進めている。また反応特性の把握に関しては、マイクロ波加熱装置内でアオサの亜臨界水加水分解反応を行い、グルコース等の収率に対する反応温度及び時間の影響などを明らかにすることができた。更にカスケード式反応プロセスの開発については、ホンダワラのガス化において5MPaの圧力でも高いガス化率と水素生成量を実現できる触媒を見出した。これらのことから、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、(1) 大型藻類の高密度・高生長栽培技術を用いた高密度生産、(2)亜臨界水+固体酸触媒の溶媒特性と酸強度の決定、 (3)カスケード式反応プロセスのうち、大型藻類の油化における亜臨界水の役割の明確化、の3項目を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)