2016 Fiscal Year Annual Research Report
微小重力下の超流動ヘリウムに特異な超熱伝導性起因の沸騰・凝縮気泡挙動の解明
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25289300
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
高田 卓 核融合科学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (30578109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 誠宏 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, 准教授 (10249899)
村上 正秀 筑波大学, その他部局等, 名誉教授 (40111588)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超流動ヘリウム / 可視化 / 沸騰 |
Outline of Annual Research Achievements |
微小重力下における超流動ヘリウム(He II) の気液界面における熱輸送メカニズムを明らかにすることを目標に、ドイツ・ブレーメン大学のZARM(Center of Applied Space technology and microgravity)という微小重力落下塔施設において、微小重力実験を成功させた。沸騰によるHe II 単気泡の成長、収縮を2台のハイスピードカメラによって2軸からの同時観測を行った。この実験は、これまで行ってきた産総研北海道センターの落下塔施設で得られる微小重力時間の1.3 秒のデータでは不足であった比較的長時間の定常状態に至るプロセスを明らかにすることを目的に、4.7秒間の微小重力時間を求めてZARMを選択した。さらに、これまでの実験では可視化窓が2か所のみであり、1軸の画像データのみであったものを窓の数を4つに増設し、気泡の3次元的な情報の取得を行った。また、制動時の加速度が45Gにも及ぶことから装置の部分的な軽量化や補強など、極低温冷媒を使用する上ではハードルの高い改造作業を施して、安全性を向上させるなど行った。この実験により、気泡形状や気泡生成用ヒータと気泡中心の相対位置など3次元観測により初めて明らかになった事実が判明した。また、過去の1.3秒間の実験との比較から十分な再現性が認められた他、定常熱伝達を示す安定した気泡の観測に成功した。これにより当初からの目標であった定常状態への過程を観測することに成功したと言える。また、He IIと常流動ヘリウム(He I)の比較の為に僅かにラムダ点よりも高い2.2Kにおける気泡生成収縮実験についても行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調であるが海外施設を使用し、また実験可能な期間が限られていたことから、実験実施が2016年度9月になり、当初計画よりやや遅れた。また機器の搬送や技術的な打ち合わせ等に予定よりも長い期間必要であったことで、年度内に解析から成果発表までを完了するには至らなかった。こうした事情から、ごくわずかに予定よりも遅れてはいるものの概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
予定されていた微小実験を終了しているので、実験画像の解析、考察、成果発表に注力する。また、補完的な意味で微小重力実験の解析から追加で必要になった検証作業を地上実験で行う。
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Causes of Carryover |
平成28年度ドイツブレーメンのZARMにおける落下塔を使用して実験を行ったが、施設使用の日程調整のために9月に実施せざるをえなかった。そのため、成果発表が平成28年度にまとまらず、本研究の目的を精緻に実行するために平成29年度にデータ解析モデル構築、学会発表、論文投稿等の成果発表を行う。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
7月に開催されるSpace Cryogenics Workshop において口頭発表、論文投稿、低温工学・超電導学会における発表を主に行う。
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Research Products
(6 results)