2013 Fiscal Year Annual Research Report
非構造性帯水層への炭酸ガス地中貯留のメカニズム解明のための研究
Project/Area Number |
25289331
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三谷 泰浩 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20301343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池見 洋明 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90380576)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 炭酸ガス地中貯留 / 透水・透気 / 難透過性岩石 / 室内試験 |
Research Abstract |
我が国におけるCO2の貯留・固定化技術に寄与することを目的とし,特に非構造性帯水層へのCO2の貯留技術を確立するために,岩石内でのCO2の流動,貯留,間隙水中への溶解について室内実験からそのメカニズムを明らかにし,必要となる各種特性値を求め,そのメカニズムを考慮した新しいモデルを構築する。さらに,数値解析によるシミュレーションを行い,原位置におけるCO2の貯留シミュレーション技術を確立し,非構造性帯水層へのCO2の貯留・固定化技術に資することを目的として研究を行った。 本年度は,開発した汎用透水試験装置のシリンジポンプ容量の増加とCO2を回収するための装置を増設するとともに,これまで行ってきた試験体のシーリング方法をより耐久性のあり,効果的なものへと改良を行った。 これを用いて,本年度は,水で飽和された試験体に対して,CO2を気体,液体,超臨界流体の単一相の条件下で注入し,飽和岩石に対するCO2の透過・貯留特性を明らかにした。その結果,超臨界CO2注入下での試験体両端の差圧は段階的に変化し,最終的に定常状態となることが確認された。また,実験結果に対し,二層流に対応したフローポンプ法の厳密解を用いて,水,CO2それぞれの相対浸透率,試験体の比貯留率を算出した。その結果,これらの特性値の変化から,試験体内に流入した超臨界CO2は,岩石内の微小な空隙内に浸透し,貯留されながら透過していく現象を定量的に明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験装置の改良はほぼ予定通り行ったが,CO2の回収については,まだ不十分な点があり,今後の改良余地が残されている。また,長期間の実験となるため,確認試験も含めて2回の実験しか出来なかった。そのため,来年度再度確認試験を行う必要がある。しかしながら,基本的なCO2の透過・貯留特性については,把握することができ,その基本的な特性をとらえることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
確認試験を行う中で,圧入実験時の注入圧力,注入速度,注入方向を変化させた実験の必要性が確認された。さらに,試験体のシール方法を変えたことで,これまでに得られていた実験結果と異なる傾向がみられ,以前の実験では,側面流(試験体側面を流動する流れ)が生じていた可能性があることがわかった。そのため,実験の再現性を確認する実験が必要となる。また,挙動の定式化による解析解を用いたシミュレーションでは,十分な解が得られない可能性があるので,数値シュミレーションによる検討が必要であることから,今後は,数値シミュレーション手法も視野に入れた特性把握が必要となる。 さらに,CO2の溶解度特性との関係を検討する必要があるため,塩水環境下での検討も考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度使用した実験装置を取り扱い業者へメインテナンスに出すための費用として必要となるため確保した。 余剰金については,シリンジポンプおよびバルブのメインテナンス費用として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)