2016 Fiscal Year Annual Research Report
高照射量照射した原子炉材料における照射脆化の電磁気評価法の適用可能性に関する研究
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25289346
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小林 悟 岩手大学, 理工学部, 准教授 (30396410)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 磁性 / 原子力 / 非破壊評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、原子力発電プラントの世界的な超長期利用を念頭に、高中性子照射量領域における原子炉圧力容器鋼の照射脆化と電磁気特性の相関データベースの構築、並びに、電磁気特性変化のメカニズム解明を行うことにより、高照射量領域における照射脆化の電磁気的非破壊評価の適用可能性を検証し総括する長期プロジェクトである。平成28年度は、高照射量中性子照射した試験片について予備的な磁気計測を行うと共に、熱脆化の影響を調べるための長期熱時効実験で得られた圧力容器鋼材について電磁気計測を実施した。具体的には以下の3点を行った。 1.ベルギー材料試験炉BR2から東北大学金属材料研究所・大洗施設に移送後、放射化レベル低減のため長期保管を行っていた中性子照射材について、予備的磁気測定を実施した。具体的には、照射条件が異なるA533B型圧力容器鋼とロシア型VVER圧力容器鋼の約80片の試験片について、磁気マイナーループ測定、メジャーループ測定、初磁化率測定を実施した。 2.熱脆化による電磁気的特性変化のメカニズムを明らかにするため、組成を系統的に変えた16種類のA533B鋼について、引き続き、原子炉圧力容器の運転下温度290℃と熱脆化促進温度約500℃において長期熱時効実験を実施した。約3万時間まで熱時効した試料について、各特性(磁気メジャーループ特性、硬度、微細組織)を評価した。 3.米国・カリフォルニア大学及びハンガリー原子力研究所の研究協力者との議論を通した知見をもとに、長期熱時効実験で得られた実験結果の成果発表(論文、国際会議等)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画で掲げた実施項目、①東北大学金属材料研究所・大洗施設へ移送した高照射量中性子照射材の電磁気特性評価(平成27年度は大洗施設に計4回訪問)、②高照射量領域における熱脆化の影響の知見を得るための長期熱時効実験と各特性評価(磁気、機械、微細組織)、③米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校及びハンガリー原子力研究所の研究協力者との議論、④長期熱時効実験で得られた実験結果の成果発表、を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成29年度は、①東北大学金属材料研究所・大洗施設における高照射量中性子照射材の継続的な電磁気特性評価、②高照射量照射による微細組織変化を明らかにするための中性子照射材の中性子小角散乱実験(ドイツもしくはハンガリーの海外施設を利用)、③電磁気特性変化のメカニズム解明とそのモデル化、④本研究課題の総括、を行う。
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Causes of Carryover |
当初計画の大洗施設を利用した高中性子照射材の電磁気計測のほか、海外施設を利用した照射材の中性子小角散乱実験の可能性が生じたため、将来的な支出増に対応できるようにしたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越する研究費および平成29年度分の研究費は、海外施設で中性子小角散乱実験を実施するための照射材移送費、実験旅費等に充てる計画である。
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