2014 Fiscal Year Annual Research Report
高レベル放射性廃液からの発熱性核種の選択分離とその癌の放射線内部照射法への応用
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25289349
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金 聖潤 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50574357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 慶造 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), リサーチプロフェッサー (00134065)
船木 善仁 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 講師 (50261491)
菊池 洋平 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50359535)
松山 成男 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70219525)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 保健物理 / 放射性廃棄物 / 放射線医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
廃棄物処分の負担軽減、環境負荷低減及び資源化・有効利用の観点から、高レベル廃液中に含まれる発熱元素(Cs、Sr)は分離することがより好ましいと考えられ、それらの選択的分離・回収を行うために、カリックスクラウン化合物誘導体であるCalix[4]arene-R14及び18-crown-6型クラウンエーテル化合物誘導体である DtBuCH18C6を多孔性シリカ/ポリマー担体(SiO2-P)に含浸担持させた複合吸着材(Calix[4]arene-R14+DtBuCH18C6/SiO2-P)を創製した。複合吸着材の基本特性は、TG-DTA及びFT-IRによる重量組成分析、熱分解挙動分析及び官能基の定性分析を行うことで評価した。複合吸着材を用いて、模擬高レベル廃液中からの発熱元素(Cs、Sr)の吸着・分離特性を検討した。CsとSrの分配係数(Kd)は、硝酸濃度の上昇と共に増加し、硝酸濃度3 M付近で極大となった。一方、他の代表的なFP元素に対するKdは10以下を示した。この結果から、高レベル廃液の硝酸濃度範囲(2~3 M)において、CsとSrの選択的な吸着が可能であると考えられる。複合吸着材を用いて、抽出クロマトグラフ法による分離試験を検討した。模擬高レベル廃液と洗浄液を通液後、ほぼ99%の白金族元素、ZrとMo、希土類が吸着されることなく流出し、その後純水を供給するとCs、Srが同時に溶離された。これらの結果、創製した複合吸着材を用いることで模擬高レベル廃液から、Cs、Srの効率的な分離が可能になった。更に、Srの高純度分画のために、吸着材DtBuCH18C6/SiO2-Pを固定相とし、塩酸溶液を展開溶媒として用いる2段階の抽出クロマト分離プロセスを検討した。その結果、DtBuCH18C6/SiO2-Pにより模擬高レベル廃液から一括分離したCsとSrを高純度で分離することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高レベル廃液を模擬した条件下での新規多孔性シリカ担持型複合吸着材を用いる抽出クロマトグラフ法によるCsとSrの分離・回収技術、両親媒性ミセルであるラクトソームへのイットリウム標識法の開発はほぼ終了しており、研究は全体的なシステムの調整段階にある。今年度、実用的なY(III)の供給法開発とY(III)ラクトソームを用いた腫瘍集積評価を行う。これについては基礎技術をすでに持っているため、大きな障害はないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
実用的なY(III)の供給法開発では、線源供給システムからのSr(II)を用いたY(III)のミルキングプロセスを開発するために、Sr(II)に高い選択性を示すDtBuCH18C6/SiO2-P吸着材について、後段のY(III)のミセル中への展開に有利となる塩酸溶液系でのY(III)溶離条件及びイオン交換分離クロマトカラム設計を行い、大環状抽出剤含浸多孔性シリカ担持型吸着材の耐放射線性の評価と合せて、対象とする癌放射線治療に実用的なY(III)の供給法を開発する。 また、Y(III)ラクトソームを用いた腫瘍集積評価では、上記の方法で得られたY(III)を用い、Y(III)内包ラクトソームを作製し、Y(III)内包ラクトソームの分離、精製条件の検討を行う。
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