2013 Fiscal Year Annual Research Report
液々・固液系核種分離プロセスに適用可能なテーラー渦誘起型遠心抽出装置の開発
Project/Area Number |
25289352
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹下 健二 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (80282870)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 連続抽出 / 向流操作 / テーラー渦 / 油水分散 / 多段抽出 / エマルジョン / 協同抽出 / 界面活性 |
Research Abstract |
・テーラー渦誘起型液々向流遠心抽出器と同じ体系を想定したヘキサメッシュを作成して円環状流路における水相の単相流動解析及びVOF法による油水の二相流動解析を実施し、テーラー渦形成を伴う油水流動の解析結果の妥当性を超音波計測で確認した。流れ場に及ぼす内筒回転数、油相の粘性、界面張力、内筒と油相の親和性の影響を調べ、界面張力および油相と内筒の親和性が油相の分散に強く影響することを明らかにした。 ・抽出速度が速いD2EHPA/ドデカン溶液系によるZn抽出と、抽出速度が遅いBOBCalixC6/Cs-7SB/TOA溶液系によるCs抽出に対する運転条件、溶液条件および内筒の親和性が多段抽出に及ぼす影響について検討した。D2EHPA/ドデカン溶液系では、1000rpm以上の内筒回転数で容易に多段化され、さらに少量の高分子保護剤(PEG)の添加によって油水エマルジョン状態が低回転でも維持され20段以上の理論段数を達成できた。一方でBOBCalixC6/Cs-7SB/TOA溶液系では常温で多段抽出が困難であり、昇温による粘度の低下や油相と親和性のある内筒の使用によっても改善は限定的であった。多段抽出の達成には抽出速度と油相分散性(界面積量)の両方を考慮した総括的な物質輸送の改善が必要である。 ・希土類元素(Nd、Sm、Eu、Gd、Dy)の相互分離を対象とし、抽出速度の速いD2EHPA/ドデカン溶液系と抽出速度の遅いTODGA/ドデカン溶液系の希土類元素の多成分系分離挙動を検討した。D2EHPA/ドデカン溶液系では容易に多段分離が達成できるが、抽出速度の遅いTODGA/ドデカン溶液系ではノナン酸のような界面活性効果のある協同抽出剤の導入によって抽出速度と油相分散が同時に改善され、多段分離が実現できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
・VOFによる油水二相流の分散性の解析により装置内の油水分散状態を十分に可視化できた。その結果、有機相(油相)の物性、特に界面張力の油水分散に与える影響が大きいことを見出し、装置の高性能化に必要な油水の物性を明らかにできた。 ・更に油相分散試薬や界面活性効果のある協同抽出試薬の添加によって油水分散性が著しく向上し、想定以上の抽出装置の高性能化を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
・装置を特異な形状(テーパー型、偏心型など)に変化させて抽出性能の更なる向上を達成し、1つの装置で添加試薬なしに多段抽出が達成できる装置構造を明らかにする。 ・数値解析法及び高速度カメラや超音波による流体可視化法によって、特異な形状をもった抽出器内部の油水分散・流動を明らかにする。 ・多成分分離を効率的に行える抽出装置の設計指針を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入物品費と旅費が見積もり金額より安くできた差額を次年度使用額として、テーパー抽出器用の外筒の購入に充てようとしたため。 テーパー型抽出器用の外筒の購入経費として使用する予定である。
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