2015 Fiscal Year Annual Research Report
原子力発電所事故により降下した放射性核種の易動性化学状態生成と環境挙動の解明
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25289355
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大貫 敏彦 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 研究員 (20354904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都宮 聡 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40452792)
田中 万也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 研究員 (60377992)
坂本 文徳 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 研究員 (60391273)
難波 謙二 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (70242162)
香西 直文 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 研究員 (80354877)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 森林リター / 易動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度には、26年度までに確立された手法により、針葉樹広葉樹混合林のリター層を対象として難移行性Csの可溶化試験を行った。さらに、セシウムを濃集した糸状菌に取り込まれたCsの配位環境をEXAFSにより明らかにする実験を行った。また、針葉樹落ち葉及びリター層、針葉樹広葉樹混合林のリター層における,放射性Csの移行特性を解明するため、伐採樹木中の放射性Csの糸状菌への移行挙動を解明する実験を行った。 その結果、未滅菌のリター層を敷いたカラムからMYDP培地溶液により溶出した放射性Cs濃度は、イオン交換水に比べて約3倍高かった。溶離液を0.2μmのフィルターろ過したろ液中の放射性Cs濃度は変化しなかった。この結果は、MYDP培地を添加した際に溶出した放射性Csが粒子性ではなく可溶性の化学状態にある可能性を示していることを明らかにした。さらに、糸状菌をCs添加寒天培地で培養し、放射性Csを濃集した糸状菌を回収し、EXAFS解析により配位環境を調べた結果、Csの周りに酸素が認められたほかは元素の存在を示す顕著なピークは検出できなかった。このことから、糸状菌に取り込まれたCsはイオンとして存在している可能性が高いことが分かった。また、伐採樹木に糸状菌を植菌して、子実体を成長させた。子実体中の放射性Cs濃度を測定した。糸状菌の種菌としてバーミキュライトあるいはゼオライト(鉱物)を添加したオガ種菌を用いたところ、子実体中の放射性Cs濃度が、鉱物無添加種菌を用いた場合よりも約40%減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画したリター層を対象として難移行性Csの可溶化試験を行うとともに、化学状態の解明のため、物理的特性、化学的特性及びCsの配位環境を明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
リター層から溶出した干す派生Csを含む溶液を用いて土壌中の移行特性を評価するとともに、微生物及び植物への移行特性をインビトロで評価する。さらに、これまで得られた結果を総合して,易動性放射性Csの化学状態及び環境動態を明らかにして,事故により降下したした核種の長期的な環境中移行評価の信頼性向上に貢献する。
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Causes of Carryover |
原木から糸状菌への移行挙動を調べる実験では、育成に時間がかかったため、子実体の発芽が遅く分析までできなかった試料があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残りの子実体試料を採取し、分析を行う。
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Research Products
(1 results)