2013 Fiscal Year Annual Research Report
スマートグリッド用バナジウム固体塩電池を高容量化するための濃厚塩安定相の基礎研究
Project/Area Number |
25289356
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山村 朝雄 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20281983)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 徳新 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40281985)
白崎 謙次 東北大学, 金属材料研究所, 技術専門職員 (70447176)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | バナジウム固体塩電池 / 高容量電池 / 濃厚塩安定相 / スマートグリッド |
Research Abstract |
<研究課題1>「濃厚領域におけるバナジウム各酸化状態の相図の実験的決定」 文献値とデータベースに基づく濃厚領域におけるプルベー図の作成では、熱力学データベースFactSageを利用した。FactSageデータベースに含まれない熱力学データについては、バナジウム溶液の熱・酸濃度に対する安定性の文献を調査してデータベースを拡充することによりFactSageデータベースを利用可能にした。濃厚領域におけるバナジウム化学種、析出物の実験的決定では、各種酸化状態のバナジウム濃度と酸濃度を変えて調製した高濃度バナジウム溶液の電位を測定し、溶液中に含まれる化学種と析出物について実際にX線回折法を用いて同定している。 <研究課題2>「くし型電極を用いた単一固相/複合固相の電極反応検討」 くし形電極を用いたバナジウム塩の電気化学的測定技術の開発では、くし形電極を用いたバナジウム固体塩の電気化学測定において、既知のV(IV)/V(V)の反応を参照として、V(III)/V(II)のCV測定で可逆性を検討した。V(IV)/V(V)反応を参照として、V(III)/V(II)反応を検討した。 <研究課題3>「カロリメトリーを用いた全電極反応の熱力学およびエネルギー効率評価」 充放電測定と同期させたCellでのカロリメトリー測定では、10Cという大電流において測定可能な吸熱過程が観察されており、本研究の成果を大きなものと期待できる。今後の詳細な検討が待たれる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
<研究課題1>「濃厚領域におけるバナジウム各酸化状態の相図の実験的決定」 文献値とデータベースに基づく濃厚領域におけるプルベー図の作成では、熱力学データベースに含まれるデータを確認し、存在しないデータについては文献に基づいて自分たちで作成を行った。濃厚領域におけるバナジウム化学種、析出物の実験的決定では、各種酸化状態のバナジウム濃度と酸濃度を変えて調製した高濃度バナジウム溶液の電位を測定し、溶液中に含まれる化学種と析出物について実際にX線回折法を用いて同定している。 <研究課題2>「くし型電極を用いた単一固相/複合固相の電極反応検討」 くし形電極を用いたバナジウム塩の電気化学的測定技術の開発では、実際にくし形電極を用いたバナジウム固体塩の電気化学測定において、V(IV)/V(V)の反応、V(III)/V(II)反応を検討した。 <研究課題3>「カロリメトリーを用いた全電極反応の熱力学およびエネルギー効率評価」 充放電測定と同期させたCellでのカロリメトリー測定では、10Cという大電流において測定可能な吸熱過程が観察されており、本研究の成果を大きなものと期待できる。今後の詳細な検討が待たれる。
|
Strategy for Future Research Activity |
<研究課題1>「濃厚領域におけるバナジウム各酸化状態の相図の実験的決定」プルベー図によれば、V(II)は水の電位窓外で存在する。それにも関わらず、高濃度バナジウム溶液を電解還元すると、水の電気分解が起こらずV(II)が還元されることが経験的に分かっている。「濃厚バナジウム溶液中における水の電位窓の実験的評価」では、V(II)濃度と酸濃度を変えて、V(II)濃度の減衰を分光学的に検討する。 <研究課題2>「くし型電極を用いた単一固相/複合固相の電極反応検討」「くし型電極を用いたインピーダンス測定技術の開発」では、くし形電極を用いたインピーダンス測定技術を開発し、各種酸化状態のバナジウム固体塩についての伝導度、反応速度定数を評価する。「2つの価数を有するバナジウム塩の濃度ごとの電位応答評価」では、実際のバナジウム電池では、異なる酸化数の塩が共存する。この異酸化数共存状態でのバナジウム塩を、バナジウム濃度や酸濃度を変えて、CVおよびインピーダンス応答を評価する。 <研究課題3>「カロリメトリーを用いた全電極反応の熱力学およびエネルギー効率評価」電極反応前後の生成熱力学量の測定では、データベースから、電極反応前後の生成熱力学量を評価する。「充放電測定、インピーダンス測定と同期させたFull Cellでのカロリメトリー測定」では、バナジウム電池内では、最低4つの沈殿-溶解平衡パスと最低2つの酸化還元反応パスが起こっている。カロリメトリー測定法を用いてバナジウム電池内部での電気化学反応や吸熱/発熱反応を測定することで、充放電中の反応プロセスを調査し、不可逆反応や律速反応をについて知見を得る。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 H26年度申請額と合わせ、H26年度の研究遂行に使用する予定である。
|
Research Products
(5 results)