2013 Fiscal Year Annual Research Report
セルフオーガニゼーションを利用した高性能マルチスケールエネルギー材料の創製
Project/Area Number |
25289358
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
一野 祐亮 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 准教授 (90377812)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超伝導 / 熱電変換 / 酸化物 / 薄膜 / エネルギー材料 / マルチスケール |
Research Abstract |
超伝導体や熱電変換材料などのエネルギー材料はナノスケールの構造制御によってマクロスケールなエネルギー性能が向上するマルチスケールエネルギー材料である。超伝導では、ナノスケールの欠陥を意図的に導入することで臨界電流密度を飛躍的に向上させることができる。また、熱電変換材料では、結晶欠陥による熱伝導率の低下が熱電変換効率の向上に寄与することが期待できる。本課題ではセルフオーガニゼーション(自己組織化)の制御技術を確立することでエネルギー材料の性能を飛躍的に向上させる、高性能マルチスケールエネルギー酸化物材料開発技術の創製を目的としている。 2013年度は、①酸化物エネルギー材料のエピタキシャル薄膜の成長、②下地表面ナノ修飾技術の確立とセルフオーガニゼーションに与える影響を明らかにすることを目的とした。①パルスレーザー蒸着(PLD)法を用いてSm-Ba-Cu-O超伝導エピタキシャル薄膜を作製した。また、これらの薄膜中にBaMO3 (BMO、M=Hf、Snなど)を添加することでBMOがナノロッド状に自己組織化することを確認した。 ②ナノ表面加工装置を本年度予算で導入し、CeO2中間層表面のスクラッチ加工(機械的加工)を試みたが、加工できなかった。そこで、同装置の一機能であるナノ電極リソグラフ(ナノリソ)を試みた。この手法は、試料と探針間に電圧を加えることで試料をナノレベルで局所的に酸化させる手法である。ナノリソのために中間層材料として酸化物エネルギー材料と格子不整合性が比較的良いTiNを選定した。TiN中間層をガラス基板上に作製し、ナノリソ加工を施したところ、印加電圧や探針走査スピードを最適化することで、TiNがTiO2に相変態しモル体積が増加した結果、幅100 nm、高さ数十nm程度の線や円を描画可能であることが明らかとなり、下地層表面のナノ加工技術の確立を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
薄膜が成長する下地表面をナノ加工する際に、CeO2層ではナノスクラッチ加工が出来なかった。また、他の酸化物材料も堅いため、ナノスクラッチ加工は困難であることが予想された。そこで、ナノ電極リソグラフ(ナノリソ)を用いて局所酸化させる方針に転換を行った。結果として、TiN層を用いることで下地層表面のナノ加工に成功した。しかし、ナノリソに最適な材料の選定やナノリソ条件の最適化などのため、本年度は下地層表面のナノ加工技術の確立に留まった。そのため、達成度はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
下地層表面のナノ加工技術は確立されたため、次年度以降はこの基板上に酸化物エネルギー材料薄膜を成長させ、下地層のナノ加工がセルフオーガニゼーションに与える影響について明らかにする。 それと平行して、Sm-Ba-Cu-O超伝導薄膜中でセルフオーガニゼーションしたBMOナノロッドについて、BMO添加量や成長温度などの成長条件がセルフオーガニゼーションに与える影響について検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の達成状況の通り、本年度は下地層表面のナノ加工技術の確立に留まったため、エネルギー材料薄膜成膜のための基板材料の必要数が減り、購入額が当初予定よりも少なくなったため、次年度使用額が生じた。 研究の推進方策でも述べた通り、平行して、Sm-Ba-Cu-O超伝導薄膜中でセルフオーガニゼーションしたBMOナノロッドについて、各種成長条件がセルフオーガニゼーションに与える影響について検討を行うため、本年度よりも多くの基板材料が必要となる。そのため、次年度使用額も合わせて基板材料を購入する。
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Research Products
(16 results)