2014 Fiscal Year Annual Research Report
大脳基底核-脳幹-脊髄投射系による姿勢制御メカニズムの解明
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25290001
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| Research Institution | Asahikawa Medical College |
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Principal Investigator |
高草木 薫 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10206732)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 姿勢筋緊張 / 姿勢反射 / 網様体脊髄路 / 前庭脊髄路 / 視蓋脊髄路 / GABA作動性投射 / ウイルスベクター / パーキンソン病 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
25年度は大脳基底核から脚橋被蓋核領域への投射系が網様体脊髄路を介して姿勢筋緊張レベルの調節に関与することをBehaviorレベルで証明した．本年度(26年度)は27年度に実施予定である研究項目を繰り上げ，脳幹網様体に投射する脚橋被蓋核（PPN）ニューロンが大脳基底核の出力核である黒質網様部（SNr）からのGABA作動性（抑制性）投射を受けるか否かを検討した．
実験には除脳ネコ標本を用いた．両側の橋網様体(PRF)に刺激電極を刺入し，各領域に加えた微小電気刺激によって姿勢筋緊張が減少・消失する部位を特定した．次いで，各領域への電気刺激によって逆行性応答する神経細胞をPPNを含む中脳-橋被蓋外側部より導出・記録した．記録したPPNニューロン(n=80)の45%(n=36)がPRFに軸索を投射し，75%(n=60)はPRFからの興奮性入力を受けていた．そして，60%のニューロン(n=48)がSNrからの抑制を受けていた．PPNニューロンの80%以上(n=65)が自発発射を有しており，約1/4(n=21)は定常的な発射活動を示すアセチルコリンニューロンであると考えられた．さらに，SNへのMuscimol(GABA-A作動薬)の微量注入ならびにPRFへのCarbachol(長時間作動性コリン作動薬)の微量注入を試み，筋緊張の変化に対応するPPNニューロン活動を解析した．各々の薬物注入によって，SNrから抑制入力を受け，かつ，PRFに出力を送るPPNニューロンの発射頻度が増加し，これに伴い筋緊張レベルが減弱・消失することが明らかとなった．即ち，SNrの出力はPRFに投射するPPNコリンニューロンを介して姿勢筋緊張の調節に関与することを証明することができた．
これらの成績は，SNrからPPNを経由してPRFに至る基底核－脳幹投射系が，筋緊張の調節に関与する神経回路であることを示唆する．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は実験動物の運動・行動実験で得た研究成果に基づき，神経細胞レベルにおいてSNr-PPN投射系が姿勢制御に関与していることを証明した．欧米においては，パーキンソン病の姿勢異常や歩行障害の治療法の一つとして，同疾患のPPNを標的とした脳深部刺激(PPN-DBS)が施行されており，本研究の成果はこの治療法の論理的根拠の一つを与えるものであると評価できる．
この研究は，本来27年度に実施する内容でる．しかし，(25年度の報告書にも記載したように）研究用のネコの入手が困難である点を考慮し，比較的少数の動物で研究成果が得られやすい本研究項目を前倒しで実施した．一方で，平成26年度に実施を予定していた研究項目は多くの実験動物を必要とするため，ラットを実験動物として用いる試みを進めてきた．そして，ラット除脳標本の開発に成功したが，(26年度に施行する予定となっていた)二つの研究項目（①前庭脊髄路やらびに視蓋脊髄路に対するSNr-PPN投射系の機能についての解析，②感覚情報に基づく姿勢反応に対する同投射系の機能解析）に関する研究成果は，記載できるレベルに至っていない．
これらの研究実績に基づき，研究計画全体の達成度は「やや遅れている」と判断する．
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| Strategy for Future Research Activity |
申請書において27年度に予定していた研究項目は26年度に終了したため，27度は26年度に実施予定であった以下の２つの研究項目について検討する．
①前庭脊髄路および視蓋脊髄路に対するSNr-PPN投射系の役割．この研究ではラット除脳標本を用いる．外側前庭神経核ならびに上丘（視蓋）に微小電気刺激を加えて誘発される姿勢変化を筋電図・床反力・眼球運動などを導出・記録することによって評価し，SNrやPPNへの薬物注入や微小電気刺激によって，その姿勢変化がどの様に修飾されるのかを解析する．
②感覚刺激に基づく姿勢反応に対するSNr-PPN投射系の機能．この研究には除脳ネコ標本と除脳ラット標本，そして，慢性無拘束ネコを用いる．除脳標本では，(a) 痛覚刺激に伴う屈曲反射や交叉性伸展反射などの脊髄反射，さらには，脊髄－脳幹－脊髄反射（SBS反射）に対応する姿勢反応や，(b) カロリックテストによる前庭機能変調を誘発し，これに伴う前庭脊髄反射を誘発する．次いで，SNrやPPNへの薬物注入や微小電気刺激によって，これらの姿勢反応（姿勢反射）がどの様に修飾されるのかを解析する．
特に，開発に成功した除脳ラット標本を用いることができるため，実験動物不足という深刻な問題は解消されると期待している．
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[Presentation] 歩行の神経機構2014
Author(s)
高草木 薫
Organizer
平成26年度 沖縄県理学療法士会講習会
Place of Presentation
那覇
Year and Date
2014-12-07 – 2014-12-07
Invited
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[Presentation] 運動麻痺と歩行障害2014
Author(s)
高草木 薫
Organizer
平成26年度 北海道文教大学学術研修会
Place of Presentation
札幌
Year and Date
2014-11-01 – 2014-11-01
Invited
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[Presentation] 睡眠と姿勢筋緊張2014
Author(s)
高草木 薫
Organizer
日本睡眠学会第39回定期学術集会
Place of Presentation
徳島
Year and Date
2014-07-04 – 2014-07-06
Invited
