2014 Fiscal Year Annual Research Report
イオン選択性に優れた次世代チャネルロドプシンの創出とオプトジェネティクスへの応用
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25290002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石塚 徹 東北大学, 生命科学研究科, 講師 (10344714)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オプトジェネティクス / チャネルロドプシン / 光遺伝学 / イオンチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
新規に発見された海洋細菌由来の光駆動ナトリウムポンプ・KR2について,ヒトコドンに最適化したKR2を作製し,これに細胞膜移行シグナル,黄色蛍光タンパク質 (EYFP),小胞体輸出シグナルを付加したコンストラクトを培養ニューロンに発現させ,黄色光を照射したところ,光照射の期間ニューロンの発火を効果的に抑制した。これにより,KR2がオプトジェネティクスツールとして新たな選択肢のひとつになり得ることを明らかにした。 クラミドモナス由来の光受容陽イオンチャネル・チャネルロドプシン2 (ChR2) がイオンチャネルとして機能する上で重要なはたらきをしていると考えられている第2膜貫通領域に保存されている5つのグルタミン酸残基について,メソスティグマ藻由来のチャネルロドプシン・MChR1ではChR2の97番目のグルタミン酸に相当するアミノ酸がアラニンに置き換わっている。その意義について,種々の点変異体の作製とその光電流応答,Gd3+を用いたチャネルブロック効果の定量的解析により,MChR1のチャネルポアはChR2のものと比べて大きく,水和したままのイオンがバルクで透過していることが考えられた。この研究では,野生型MChR1と比べて約10倍も大きな光電流が生じる改変体の作製に成功し,新たなツールとしての可能性を示した。 ChR2のあるアミノ酸残基1か所に変異を加えると,一過性の外向き電流が流れた後,内向きの定常電流が流れる特異な光電流キネティクスを示す変異体が得られていた。この外向きの光電流成分は,少なくとも塩化物イオンと炭酸水素イオンの陰イオンであることを電気生理学的解析により同定した。この変異体のイオン透過・透過イオン選択の分子構造基盤を明らかにすることで,チャネルロドプシンのイオン透過,透過イオン選択メカニズムの解明に大きく貢献することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画の進捗はもとより,新規海洋細菌由来ロドプシンのオプトジェネティクスツールへの最適化およびその応用の成功や,特異な光電流応答を示すチャネルロドプシン点変異体の発見とその詳細な構造機能解析においても着実に成果を挙げている。これらの研究進捗状況を考慮すれば,本研究課題は「当初の計画以上に進展している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
チャネルロドプシンの一アミノ酸変異体のイオン透過・透過イオン選択性の構造的基盤解析においては,海外の研究機関との共同研究によって,強力に推し進めていくことを予定している。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた機器を,当該年度に購入する必要がなくなったため。なお,機器を購入しなかったことによる研究計画の遅れはない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に当該機器を購入し,研究の進展を図る。また,試薬や培養用プラスチック器具等の購入に充当する。
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Research Products
(5 results)