2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25290008
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
平田 普三 青山学院大学, 理工学部, 教授 (60402450)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝学 / 神経科学 / 遺伝子 / 脳・神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
触覚受容に関わる分子の機能理解を目指し、前年度に引き続き触刺激応答に異常のあるゼブラフィッシュ変異体の応答をビデオカメラを用いて動画記録し、フレーム解析を行うことで、運動特性を詳細に解析した。また、触刺激以外の刺激に対する応答として、光に対する応答、音に対する応答、水流に対する応答、マスタードオイルなど刺激物に対する応答も前年同様に解析して、変異体が触刺激に対する応答のみを喪失しているのか、あるいはあらゆる外界刺激に対する応答を喪失しているのかを解析した。さらに、変異体の責任遺伝子同定の目的で、変異体のヘテロ個体を遠系統ゼブラフィッシュWIKと交配して、それで得られたF1個体からヘテロ個体を同定してヘテロ個体同士を交配してF2ホモ変異体個体を得て、それらからゲノムを抽出し、ゲノム上に散在する218個のマイクロサテライトマーカーのPCR解析により、変異体とリンクする染色体領域を同定、ナローダウンする実験を進めた。また、前年度に責任遺伝子を同定したRNF121変異体についての解析を進め、遺伝子発現を遺伝的に操作するGAL4-UASシステムを用いてカルシウム感受性蛍光タンパクGCaMPを一次感覚ニューロンであるRohon-Beardニューロンに発現させたトランスジェニックゼブラフィッシュを使い、感覚刺激を与えた時にRohon-Beardニューロンが活動するかをGFP蛍光で可視化する実験を行った。正常個体ではRohon-Beardニューロンが活動することを蛍光観察により見ることができたが、変異体ではRohon-Beardニューロンの活動が見られず、変異体ではRohon-Beardニューロンが刺激受容時に活動しないことが確認された。この結果はユビキチンリガーゼであるRNF121が触覚受容に必要であることと合致しており、変異体では何らかのタンパクの蓄積により触覚異常になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度は変異体の原因遺伝子としてRNF121を同定したが、本年度はGCaMPを用いたカルシウムイメージングを一次感覚ニューロンであるRohon-Beardニューロンで行った。正常なRohon-Beardニューロンは触刺激に応じて活動電位を発生させることが蛍光シグナルの観察から分かったが、RNF121変異体のRohon-Beardニューロンは触刺激によって活動電位を発生しないことが蛍光観察から確認された。したがって、RNF121変異体が触刺激に応答しないのはたとえばアクチン分子に変異があって筋収縮が起こらないなど運動器に異常があるなどの理由によるものではなく、Rohon-Beardニューロン、つまり感覚ニューロンに異常があることによると確かめられた。これは当初の目的である触覚受容の理解を目指すことと合致するものであり、研究は予定通りの方向に進んでいると言える。神経細胞において活動電位は、まず電位依存性ナトリウムチャネルが閾値電位を超える脱分極によって活性化されることではじまり、これがナトリウムイオンを細胞外から細胞内に透過させ、大きな脱分極を誘導する。次に電位依存性カリウムチャネルが開き、カリウムイオンを細胞内から細胞外へ透過させることで膜電位を低下させる。RNF121変異体では活動電位が発生しないと考えらえることから、変異体では電位依存性ナトリウムチャネルに異常がある可能性が考えられる。しかし、ユビキチンリガーゼであるRNF121が電位依存性ナトリウムチャネルにどう関係するかは現時点では不明なので、今後の研究でこの点を明らかにする必要がある。RNF121がどのように電位依存性ナトリウムチャネルを制御するのかを明らかにすれば、本研究の目的とする触覚受容の分子基盤理解に大きく寄与できると思われる。来年度はRNF121と電位依存性ナトリウムチャネルに注目した解析を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
ユビキチンリガーゼであるRNF121が電位依存性ナトリウムチャネルにどう関係するかを明らかにしたい。まず、RNF121が細胞内のどこに局在するのかを明らかにする目的で、RNF121抗体を用いた免疫染色で細胞を染色する。RNF121抗体はウェスタンブロットに使える抗体が市販されているが、免疫染色で使えると保証されたもはないので、よさそうな抗体を購入して免疫染色に使えるかを自分で確認し、本研究に応用したい。もし、免疫染色に使える市販の抗体がなければ、自分でウサギポリクローナル抗体を作製する必要があるが、それも視野に入れている。電位依存性ナトリウムチャネルは小胞体で合成され、ゴルジ体を経て細胞膜に輸送され、さらに細胞膜の中でも軸索起始部と呼ばれる領域に局在するので、RNF121の細胞内で小胞体かゴルジ体か細胞膜にあると予想されるので、これを検証したい。次に、RNF121が電位依存性ナトリウムチャネルにどう作用するかについてはゼブラフィッシュを用いたin vivo解析だけでは難しいと思われるので、HEK293細胞を用いたin vitro解析を導入することを計画している。HEK293細胞にタグをつけたRNF121と他のタグをつけた電位依存性ナトリウムチャネル、さらに他にタグをつけた電位依存性ナトリウムチャネルベータサブユニットを発現させ、細胞内でこれらのタンパク質が結合しているかを調べる。また、RNF121が電位依存性ナトリウムチャネルや電位依存性ナトリウムチャネルベータサブユニットをユビキチン化して分解へ仕向ける可能性も考えており、プロテアソーム阻害剤MG132を作用させた時の電位依存性ナトリウムチャネルや電位依存性ナトリウムチャネルベータサブユニットのユビキチン化やタンパク量の解析を行いたい。さらに、RNF121が電位依存性ナトリウムチャネルの細胞内輸送に関わる可能性を解析する。
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Causes of Carryover |
変異体の責任遺伝子の同定を進める中で、ユビキチンリガーゼRNF121が原因遺伝子であるという知見が得られた。これは予想外の発見であり、研究代表者はユビキチンリガーゼ分子の異常が感覚受容に広範に影響する可能性があると考えた。研究遂行上、この作用の本質を見極めることが不可欠であるので、ユビキチンリガーゼ分子の解析を優先して行う必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ユビキチンリガーゼの解析を優先して進め、それに必要な物品を購入する。
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[Journal Article] Coexpression of auxiliary Kvb2 subunits with Kv1.1 channels is required for developmental acquisition of unique firing properties of zebrafish Mauthner cells.2014
Author(s)
Watatane, T., Shimazaki, T., Mishiro, A., Suzuki, T., Hirata, H., Tanimoto, M. and Oda, Y.
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Journal Title
J. Neurophysiol.
Volume: 33
Pages: 1153-1164
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Motor development and plasticity in zebrafish.2014
Author(s)
Hirata, H., Ogino, K., Yamada, K., Leacock, S. and Harvey, R. J.
Organizer
Core-to-Core Project International Seminar “Evolution of insulin-like peptides and their function: development, growth metabolism and aging.”
Place of Presentation
東京大学中島董一郎記念ホール(東京)
Year and Date
2014-10-11
Int'l Joint Research / Invited
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