2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25290012
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
窪田 芳之 生理学研究所, 基盤神経科学研究領域, 准教授 (90192567)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シナプス / 大脳皮質 / 錐体細胞 / 棘突起 / 樹状突起 / 電子顕微鏡 / 3次元再構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
錐体細胞は、同じ層にものでも投射先や形が異なり、サブタイプが存在する事が次第に明らかになってきた。その中で、本研究では、5層にある脊髄(橋)投射型の錐体細胞(CPn細胞)と対側の線条体に投射している対側投射型錐体細胞(CCS細胞)に着目し解析した。本年度は、連続EM像からの3次元再構築法を使った樹状突起の形状解析を行った。その結果、樹状突起の分岐部はRallの3/2乗則を満たす事、樹状突起の断面積はその位置から先端までの樹状突起ブランチの総延長に比例する事、樹状突起の断面は楕円である事を見出した。 また、それらの3次元再構築した樹状突起のセグメントに存在する棘突起の分布と形状を解析した。棘突起は、有効なシナプス刺激が入力すると大きくなりAMPA受容体が挿入される事が良く知られている。錐体細胞のどの樹状突起に大きな頭部をもつ樹状突起が頻度高く見られるかは、学習という観点からとても重要である事を念頭に、3次元再構築した樹状突起セグメントから出る樹状突起の頭部、柄部,シナプス接合面積等の形状を計測した。結果、細胞体に近い樹状突起により大きな棘突起頭部をもつものが多いことを見出した。さらに、棘突起の樹状突起上の分布密度を解析したところ、細胞体に近いところではほとんど棘突起は観察できなかったが、細胞体から離れるにつれ徐々に分布密度を上げ細胞体から250ミクロンほど離れた樹状突起では最大密度(4個/ミクロン)になり、それよりも遠くにいくに従って徐々に密度を落として、tuft 樹状突起では一定の密度(1個/ミクロン)に落ち着いた。1層のtuft樹状突起には可塑的な変化を起こす余裕があることが想像できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した実験計画を実行し、成果を上げることができた。成果を学会のシンポジウムや論文ですでに一部は発表済みである。ただし、データの一部を使って論文を執筆作成中であり、当初計画を延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
データを必要に応じて追加で収集解析し、論文執筆作成をできるだけ早くするように努力したい。
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Causes of Carryover |
電子顕微鏡連続切片からの3次元再構築解析法で、大脳皮質の神経細胞のシナプス入力分布の解析をした。この作業は、非常に時間がかかると予想されたが、4年間でほぼデータをとり終え、成果の一部は学会のシンポジウムや論文ですでに発表した。ただしさらにもう一つの論文作成のためのデータ作成や解析の為に、時間がもう少し必要になり、当初計画を延長する必要が出てきた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果発表のため、学会報告などのための出張費用や、研究データを得るために使う消耗品類、物品類などの購入にあてる予定である。
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Research Products
(12 results)