2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25290021
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
植村 健 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (00372368)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳・神経 / 小脳 / 神経回路網形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、小脳神経回路網形成におけるNRXNsの役割を明らかにするために、小脳顆粒細胞(平行線維)、下オリーブ核(登上線維)でNRXNsを特異的に欠損する遺伝子改変マウスの樹立を行なった。Nrxn1,2,3の細胞膜貫通領域をコードする領域をloxP配列で挟み、Cre組換え酵素依存的にこれらの領域を欠損させるマウスを作製した。作製したマウスは小脳顆粒細胞でCreリコンビナーゼが発現しているマウス系統および下オリーブ核でCreリコンビナーゼが発現しているマウス系統との交配を実施した。本年度までに小脳顆粒細胞選択的Nrxn1,2,3欠損マウスが少数得られた。これらのマウスは重篤な運動失調を示すことから、間接的ではあるがloxP間のCre依存的欠損が確認された。脳部位特異的Nrxn1,2,3欠損マウスが樹立の成功は、小脳神経回路網形成の分子基盤を明らかにする上で極めて重要な研究進展であると考える。また、本年度は併せてGluRδ2-Cbln1-NRXN 三者複合体を介したシナプス前終末分化誘導に関わる細胞質内分子複合体の同定を行なった。GluRδ2のN末端細胞外領域をFc融合タンパク質として精製し、磁気ビーズに結合させた後、培養小脳顆粒細胞に添加した。磁気ビーズ上にプレシナプスを誘導させた後、膜透過性クロスリンカーで処理し、複合体を単離した。質量分析装置を用いて網羅的に解析した結果、GluRδ2のN末端細胞外領域を結合させた磁気ビーズから細胞質内タンパク質が35種類位程度同定された。結合候補分子の発現ベクターを構築し、質量分析でスコアの高い候補分子についてGST pull-downアッセイを行なった。現在までに、NRXN1の細胞質内領域結合タンパク質として4種類の新規結合分子が同定されており、独自に開発したスクリーニング法により下流シグナル分子が効率良く単離できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子改変マウスの出産数が少数な上、食殺による産仔喪失が重なり、再度交配が必要となり遺伝子欠損マウスの解析が当初予定よりやや遅れていたが、当初予定よりも大きい規模で交配を行い、解析に必要なマウスの個体数を作出できるようになっている。その他についてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子改変マウスの解析については、解析マウスを十分量確保するために、交配数を当初予定より大きい規模で行なうことで研究を効率良く推進させる。受容体複合体のシグナル伝達を担う細胞内シグナル分子群の解析については、候補分子が多く、免疫沈降法による解析が困難なため、GST pull downにより効率良く候補分子を選別する予定である。
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Causes of Carryover |
小脳顆粒細胞特異的Nrxn1,2,3 ノックアウトマウスが研究当初に想定していなかった小脳顆粒細胞の細胞死を引き起こすことが明らかとなり、個体レベルでの解析に加えて培養神経細胞での解析が必要になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
培養初代神経細胞作製に用いるマウスの飼育費および培養神経細胞作製と解析のための培地、抗体などの消耗品を購入する予定である。
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