2015 Fiscal Year Annual Research Report
認知機能に関係する神経可塑性プロテアーゼ基質の網羅的探索とそのシグナル系の解析
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25290022
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
塩坂 貞夫 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (90127233)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロテアーゼ / 組織プラスミノーゲンアクティベータ / ニューロプシン / プラスミン / DPSI法 |
Outline of Annual Research Achievements |
1、我々はDPSI法と名付けた方法により細胞外セリンプロテアーゼ Neuropsinの海馬における基質として神経栄養因子 Neuregulin-1の同定に成功した。この方法を応用するために組織プラスミノーゲンアクティベータのLoopG(C506S)を変異させたExpression vectorを作成し、これをCOS細胞に組み込んだ。同様の方法にてtPAC506Sを作成し、これは実際に市販されているリコンビナントplasminogenと結合することを示した。このことは従来いわれてきたものの確認されていなかった現象、すなわちtPAがplasminogenを直接結合して、切断することを直接に示したものである。このことを踏まえ、今後、変異tPAに結合するたんぱく質を海馬ホモジェネートから同定する。
2、これまで田村ら(J. Neurosci. 32, 12657, 2012)が同定した変異ニューロプシン結合物の解析をさらに進めるため、NRG1に絞り、海馬および前頭皮質のNRG1の分布を検証した。 NRG1はプロセシングを受けて抑制性ニューロンを亢進させるため、シナプトソーム分画など細胞分画を行いウエスタンブロットにより検証したところ濃い63Kd(mature NRG1)バンドおよび,40,34および30kDaの薄い3つのバンドを得た。カイニン酸を腹腔内に注射し大脳皮質、海馬でのArcの増加によって神経活動の亢進を確認したサンプルにおいて、上記シナプトゾームに濃縮するバンドの増強を認め、特に田村が見出した34Kdの著しい濃縮を観察した。これはニューロプシンによる切断前の断片と考えられ神経活動の亢進によって前シナプスマトリクスに集積しているものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた未知結合たんぱく質との結合実験を未だ行っていない。これは担当していた学生の就職や、研究代表者の定年退職などが重なったためである。今後の研究推進方策に示したように新たに旭川医科大学の吉田成孝教授を共同研究者に加えることにより遅れをとり戻す計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
結合するたんぱく質のウェスタンバンドが神経活動に有意かどうかを調べることが重要である。その意味でカイニン酸投与動物の脳組織からシナプトソーム分画など細胞分画を行いウエスタンブロットにより検証した去年度の成果は未同定のたんぱく質にも応用できると考えられる。したがって、今年度もこの方法を行い有意な結合たんぱく質をえる努力を行う。 今年度は以前に共同研究を行った旭川医科大学の吉田成孝教授を新たに加え、ウェスタン法によって得られたたんぱく質のバンドの同定を試みる。
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Research Products
(1 results)