2013 Fiscal Year Annual Research Report
ラット多能性幹細胞を利用した臓器欠損モデルの作製と胚盤胞補完法による臓器再生
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25290037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
平林 真澄 生理学研究所, 行動・代謝分子解析センター, 准教授 (20353435)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝子ターゲティングベクター / CRISPR/Cas法 / FoxN1遺伝子 / ラットES細胞 / フォルスコリン / 生殖寄与能 / Hex遺伝子 / Prdm14遺伝子 |
Research Abstract |
遺伝子ターゲティングベクターの作成 臓器発生過程に関与する転写因子群に着目し、それぞれ肝臓、腎臓、および生殖細胞の発生・形成に関与するHex遺伝子、Sall1遺伝子、およびPrdm14遺伝子のターゲティングベクターを作成した。加えて、新規ゲノム編集法として注目されるCRISPR/Cas法を用いて胸腺の発生・形成およびT細胞欠損に関与するFoxN1遺伝子のコンストラクトを作製し、ラット初期胚に導入することにより胸腺欠損および免疫不全ラットの作製を行った。合計50匹の出産仔ゲノムからシークエンス解析をしたところ、片側アレルにおいて4bpの挿入あるいは44~60bpの欠失が確認され、ヘテロ変異ラットを5匹得ることができた。次年度はFoxN1変異個体間の交配で胸腺欠損ラットを作製し、種々の解析に供する。 ラットES細胞株の生殖系列への寄与条件に関する後方視的解析 ラットでは体細胞核移植や4倍体胚補完によって個体を作製する技術が未確立なことから、現時点ではES細胞の遺伝形質だけを備えた個体を得るにはキメラを介するコンベンショナルな方法を採用するしかない。様々な系統から異なる培地 (3i、2i、および2i+フォルスコリン) によって樹立したラットES細胞株を用い、キメラ経由でG1世代への形質伝達を調べたところ、2i+フォルスコリン培地で樹立したすべてのES細胞ラインは生殖寄与能を有することがわかった。ラット系統の毛色およびES細胞の性別は生殖寄与能への影響条件ではなく、アルビノ由来ES細胞ラインにおいては毛色寄与率に基づいて生殖寄与能を予測することは困難だった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CRISPR/Cas法でFoxN1遺伝子を欠失させるコンストラクトを作成し、受精卵に顕微注入することでヘテロ変異個体を得ることに成功した。来年度中にはホモ個体が得られるので、胸腺の欠損状態やT細胞の有無、免疫不全の程度などを解析し、胚盤胞補完による胸腺の再生を試みる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ラットES細胞と胸腺欠損個体を利用し、胚盤胞補完による臓器再生技術の確立を目指す。また、KO動物を作製する際、キメラ動物 (F0世代) を介して生殖寄与個体 (F1世代) を獲得し、さらにヘテロ個体同志の交配によりホモKO個体 (F2世代) を作製するのが一般的である。このプロセスを短縮するため、生殖細胞の発生・形成に関与するPrdm14遺伝子欠損モデルを作製し、ES細胞の胚盤胞補完を適用することで100%、ES細胞由来の生殖細胞を有する個体が作製できるかを調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、臓器発生過程に関与する転写因子群に着目し、予定していた全ての標的臓器 (肝臓、腎臓、および生殖細胞) のターゲティングベクターを作成することに重点を置いた。その結果、ターゲティングES細胞からキメラ個体を作製する実験が次年度に集中することとなり、作製されたキメラ個体の飼育スペースおよび飼育費用の確保が問題になった。現有の飼育スペースでは十分に補えないことも想定し、外部委託飼育の可能性があるので基金分を次年度以降に繰り越すこととした。 繰り越し基金分220万円と翌年度分100万円を合わせ計320万円の予算になる。外部委託飼育費が30万円/月なので、のべ半年利用することを想定し、180万円分が動物飼育費で残り140万円分を消耗品・旅費およびその他の経費として使用する予定である。
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Research Products
(8 results)