2013 Fiscal Year Annual Research Report
加齢性病態を再現する孤発性アルツハイマー病モデルマウスの開発と解析
Project/Area Number |
25290039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
松田 潤一郎 独立行政法人医薬基盤研究所, 難病・疾患資源研究部, 研究リーダー (60181731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 展之 独立行政法人国立長寿医療研究センター, アルツハイマー病研究部, 室長 (80392330)
高橋 一朗 独立行政法人医薬基盤研究所, 難病・疾患資源研究部, 研究サブリーダー (90171470)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 疾患モデル動物 / アルツハイマー病 / 加齢 |
Research Abstract |
アルツハイマー病の約9割は孤発性タイプであり、遺伝子の変異によらず老化とともに発症することが大きな特徴である。これまでの研究成果により、老化に伴う細胞内輸送機能の障害がアルツハイマー病の原因因子と考えられているβアミロイド蛋白(Aβ)の蓄積を引き起こすことが明らかとなった。そこで本研究では、神経細胞特異的に細胞内輸送機能を低下させることで、脳の老年性(加齢性)変化を再現する孤発性アルツハイマー病モデルマウスの作出を目的とする。 初年度である平成25年度は、神経細胞特異的にrtTA(逆テトラサイクリン制御トランス活性化因子)を発現するトランスジェニックマウスを導入するとともに、軸索輸送モーター蛋白であるdyneinに対するshRNAを発現する遺伝子コンストラクトと、テトラサイクリン応答性に目的因子を発現させる遺伝子コンストラクトの作成を行った(松田、高橋)。作成したshRNA発現遺伝子コンストラクトをマウス由来神経系セルラインであるNeuro2a細胞に導入したところ、dyneinの有意なノックダウンとともに、Aβやその前駆体であるアミロイド前駆体蛋白(APP)の細胞内蓄積が確認された(木村)。このことから、今回作成したshRNA配列は効果的にマウスのdyneinをノックダウンさせることが可能である。 一方、テトラサイクリン応答性に目的因子(この場合はdyneinに対するshRNA)を発現させる遺伝子コンストラクトをNeuro2a細胞に導入したところ、テトラサイクリン存在下において有意なdyneinのノックダウンを確認することができた(高橋、木村)。これらの結果から、テトラサイクリン刺激によって細胞内輸送を障害することが技術的に可能であることが証明され、この技術を応用すれば細胞内輸送障害モデルマウスの開発に繋がる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の計画通りに達成できている。次年度(平成26年度)は作成した遺伝子コンストラクトを受精卵に導入し、実際に産仔を得ることを目標とする。
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Strategy for Future Research Activity |
今回作成したテトラサイクリン応答性遺伝子コンストラクトは、テトラサイクリン非存在下においても若干の目的因子発現が確認された。そこで、テトラサイクリン非存在下ではテトラサイクリン応答因子の発現を抑制する新たな遺伝子コンストラクトを作成し、両者を同時に遺伝子導入することでより厳密に遺伝子発現をコントロールする方法を検討している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究において、新規アルツハイマー病モデルマウスを作成するため、25年度に神経細胞特異的にrtTA(逆テトラサイクリン制御トランス活性化因子)を発現するトランスジェニックマウスを導入済みであり、このマウスを計画的に増産するため、体外受精を行う予定で、体外受精用培地等を年度末に購入予定であったが、業者による納入が年度内に間に合わなかった。従って、培地等の購入費として予定していた額が次年度使用額として生じた。 25年度に予定していた、神経細胞特異的rtTAトランスジェニックマウスの体外受精による計画的な増産を、26年度に体外受精用培地等を購入して実施する。
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[Journal Article] Transcriptome analysis of distinct mouse strains reveals kinesin light chain-1 splicing as an amyloid beta accumulation modifier.2014
Author(s)
Morihara T, Hayashi N, Yokokoji M, Akatsu H, Silvermana MA, Kimura N, Sato M, Saito Y, Suzuki T, Yanagida K, Kodama TS, Tanaka T, Okochi M, Tagami S, Kazui H, Kudo T, Hashimoto R, Itoh N, Nishitomi K, Kabata-Yamagichi Y, Tsunoda T, Takamura H, Katayama T, Kimura R, Kamino K, Hashizume Y, Takeda M.
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Journal Title
PNAS
Volume: 111
Pages: 2638-2643
DOI
Peer Reviewed
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