2013 Fiscal Year Annual Research Report
発癌と癌進展におけるvasohibin2の機能に関する研究
Project/Area Number |
25290040
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 靖史 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (50178779)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | VASH2 / 遺伝子改変マウス / 血管新生 / 発癌 / 癌進展 |
Research Abstract |
ヒトの家族性大腸ポリポーシスのマウスモデルで、自然発癌マウスモデルでもあるApc(min/+)マウスに高脂肪食を付加し、小腸に癌の早期までのポリープ病変を惹起させ、腺腫から腺癌に至る過程での血管の変化を解析すると共に、VASH2の発現を代表的な血管新生因子であるVEGF-Aと比較した。血管は、腺腫から腺癌に至る過程で増成し、未熟な形態に変化した。VASH2の発現は腺腫から腺癌に至る過程で上昇し、その発現細胞は腫瘍細胞であった。一方、VEGF-Aの発現には変化はなく、上昇は確認されなかった。Apc(min/+)マウスとVASH2(lacZ/lacZ)マウスを交配してApc(min/+)・VASH2(lacZ/lacZ)マウスを作成し、ポリープ病変を惹起させ、病変部位をβ-galactosidase染色したところ、腫瘍細胞が強く染色したことから、VASH2発現細胞は腫瘍細胞が主体であることが確認された。もう一つの胃がんの自然発症マウスモデルであるGanマウスにおいても胃がん部位のVASH2の発現を正常胃粘膜と比較したところ、上昇している事が確認された。また、GanマウスとVASH2(lacZ/lacZ)マウスを交配してGan・VASH2(lacZ/lacZ)マウスを作成した。一方、VASH2(lacZ/lacZ)マウスにルイス肺癌細胞を移植したところ、野生型マウスと比較して、腫瘍の発育と腫瘍血管新生の有意な抑制が観察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2つの自然発癌マウスモデルを用いて、発癌の過程でVASH2が癌細胞に発現することを証明した。また、VASH2(lacZ/lacZ)マウスにVASH2を発現するルイス肺癌細胞を移植した実験から、宿主の発現するVASH2も癌の進展に関与することを示すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
Apc(min/+)・VASH2(lacZ/lacZ)マウスおよびGan・VASH2(lacZ/lacZ)マウスの発癌と癌進展を、それぞれApc(min/+)マウスおよびGanマウスと比較し、VASH2の発癌・癌進展における機能の詳細を明らかにする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ予定通りに執行できたが、少額の残額を生じた。 次年度の試薬費に当てる。
|