2014 Fiscal Year Annual Research Report
癌間質を標的とした抗腫瘍ウイルス封入血小板ベクターによる癌標的治療の新戦略
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25290056
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金田 安史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10177537)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血小板 / 癌間質 / HVJ envelope |
Outline of Annual Research Achievements |
癌に対する新しいコンセプトに基づくDDS として抗腫瘍活性を有するウイルスを封入した血小板ベクターを開発する。これは癌間質での多数の微小出血部位に血小板が集積し、活性化されて凝固因子を放出するということからヒントを得た癌間質標的DDSである。前年度では、既に抗腫瘍作用を有することがわかっている不活性化センダイウイルス粒子(HVJ-E)を血小板に封入し、メラノーマもマウスモデルにおいて静脈内投与により抗腫瘍効果を示すことができた。今年度は、免疫細胞の腫瘍内侵潤を促進するケモカインであるIP10(CXCL10)を封入した血小板をメラノーマモデルマウスに静脈内投与したところ、抗腫瘍作用が認められた。その解析を行ったところ、T cel, NK cellの腫瘍内集積が著明に見られた。一方、血小版だけでも抗腫瘍効果があり、そのメカニズムとしてFoxP3陽性の制御性T細胞を抑制できることが分かった。驚いたことに担がんマウスの血小板には抗腫瘍作用が認められなかった。その原因として、CD40 liganndによるシグナル伝達が推測され、担がんマウスも血小板ではこの発現が低いことが分かっている。HVJ-EのCantell株では複製不能のDI粒子が多く、この粒子中に含まれる564塩基のウイルスRNAがRIG-Iとの親和性が高いことが知られている。実際に、このRNAを合成して癌細胞(PC3)に導入するとインターフェロンロンベータやNoxa, TRAILの発現が高く誘導された。そこでこのDI粒子を血小板に封入してB16F10メラノーマ細胞に作用させると細胞死の誘導が起こった。マウスモデルでの検証を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画したアデノウイルスの封入実験は大阪大学ではできなかったが、これは共同研究者のミネソタ大学の山本教授が行う予定であり、血小板ベクター作成の技術を教授した。それに代わって、組み換え蛋白のIP10を封入した血小板を作成し治療実験を行い、抗腫瘍作用を得ることができたが、その中で当初予期しなかった血小板自体に制御性T細胞を抑制して、抗腫瘍作用を発揮する能力を見出し、それが担がんマウスの血小板では衰えていることを発見した。おそらくCD40 ligandであろうと推測しているが、血小板の新機能を見出すことができた。以上より、当初より以上の進展をしていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
健常マウスの血小板の抗腫瘍作用、特に制御性T細胞のFoxP3抑制の分子機構を明らかにする。HVJ-E封入血小板を転移癌モデルに用いて、転移の抑制効果が得られるかどうか検証する。
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