2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25290068
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
荒木 良子 独立行政法人放射線医学総合研究所, 研究基盤センター, 室長 (40392211)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リプログラミング / iPS細胞 / 点突然変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノム初期化の過程で生じるゲノム不安定性について、その実態と原因を明らかにすることが本研究の目的である。H25年度は、iPS細胞株に検出される点突然変異の多くが、体細胞に既に存在していたものではなく、体細胞からiPS細胞に転換した直後に生じたものであることを明らかにした。H26年度は、それらiPS細胞における点突然変異の全体像を明らかにするための解析を試みた。得られた成果は下記の通り。 1)iPS細胞に転換した後の変異は、iPS細胞株の全ての細胞に存在するわけではないため、検出が困難である。それを回避するため、iPS細胞をばらばらにしてシングルセルから樹立したサブクローンを用いて、それぞれ全ゲノムシーケンシングを行った。複数のサブクローンを解析した結果、検出できた変異の総数は、元のiPS細胞株を対象にした場合に比べ、2倍以上になることが明らかになった。 2)それらの変異が、領域特異的か否かを検討した。しかし、染色体特異性、ゲノム領域(遺伝子領域、制御領域、遺伝子間領域)特異性は観察されなかった。更に、UCSCゲノムブラウザにて参照可能なENCODEエピゲノム情報を参照し、領域特異性の抽出を試みたが、特徴は見出されなかった。これらのことから、iPS細胞における変異は、ランダムに生じている可能性が示唆された。 これらの結果をまとめ、論文投稿した。更に、損傷の原因の解明に向けて、検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに研究が進み、論文投稿を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、iPS細胞における点突然変異の原因の解明等、達成が困難な課題にチャレンジする。そのため、計画通りに進まない可能性が十分に生じる。現在のところ、全ゲノムシーケンシングを行い点突然変異を検出する方法しか指標が無いことも研究を進める上での問題であるため、他に指標が無いか検討も行う。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた実験が遅れ、その実験用試薬購入を年度内に行わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定した実験はH27年度に行うため、当初予定通り、試薬費として使用する。
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