2014 Fiscal Year Annual Research Report
化学修飾ペプチド核酸によるウイルスゲノム1塩基変異の高感度診断法の開発
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25290073
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
開發 邦宏 大阪大学, 産業科学研究所, 特任准教授(常勤) (70419464)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝子診断 / 核酸塩基 / ペプチド核酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
オリゴ核酸は標的核酸の塩基配列を識別してハイブリダイゼーションする。このオリゴ核酸に化学修飾を施すと相補鎖に対する安定性を劇的に向上させることが可能である。しかし、標的核酸の配列にミスマッチ塩基対がある場合であっても相補鎖との会合体形成能を非特異的に高めてしまう。 我々は、ペプチド核酸のアミノ末端にインターカレーターとして適度な剛直性と芳香族性を持つトランを導入すると、標的鎖が完全に相補塩基からなるときのみに二重鎖形成能を高めた。興味深いことに、ペプチド核酸のアミノ末端からトランまでのリンカー距離をスクリーニングしたところ、最適なリンカー距離があること、その構造を分子ドッキングシミュレーションにより解析したところ、インターカレーターが相補鎖末端の塩基対がマッチ塩基対である場合にスタッキングにより二重鎖を安定化することが明らかとなった。実際、インターカレーター修飾型ペプチド核酸は、標的核酸が完全に相補鎖となる場合、および1塩基ミスマッチが末端領域にある場合を比較したところ、未修飾のものが1塩基識別能は7.2℃であったのに対して、トラン修飾型の1塩基識別能は12.9℃と、5.7℃の向上が見られた。 以上のことから、H26年度ではペプチド核酸の末端部位に剛直なインターカレーターを適切なリンカーを介して導入すると、ミスマッチ塩基が相補彩列末端にあった場合でも、その配列識別能を改善できることがわかった。現在、その構造最適化をさらに進めている。 その他、ペプチド核酸をニトロセルロースメンブレンにライン上に固定化した自作キットを作成し、ウイルスゲノムを検出するためのシステムの確立を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペプチド核酸に適切なリンカーを介してインターカレーターを化学修飾することで、相補鎖に対する会合能を選択的に高め、その1塩基識別能を高めることに成功した。当該技術は、偽陽性を抑制しつつ、標的ゲノムを選出するために有用なアプローチである。 このトラン修飾ペプチド核酸をイムノクロマト用のニトロセルロースメンブレンにライン上に塗布した自作キットを作成し、インフルエンザウイルスの各蛋白に結合して発色する金コロイド抗体を含むコンジュゲートパットを作成するところまでに到達した。 現在、ペプチド核酸搭載メンブレン、金コロイド修飾抗体を含浸させたコンジュゲートパットをアセンブリーして、ウイルス検体を目視検出する検討を進めている。以上のことから、当初の計画通り研究を推進している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題を解決した手法を組み合わせて、インフルエンザウイルスの薬剤耐性、感受性を識別できる新規核酸診断クロマトデバイスを開発することを目指す。
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Research Products
(7 results)