2014 Fiscal Year Annual Research Report
難治胃癌のトランスクリプトーム解析による治療標的分子の探索研究
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25290074
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
細田 文恵 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (30219191)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 胃癌 / トランスクリプトーム / 融合遺伝子 / 発現異常 / 分子標的治療 / 癌の個性診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
国立がん研究センターバイオバンクから昨年度までに得た190症例に加えて、40症例の胃癌凍結検体を追加収集した。RIN>4のRNA品質を有する218症例のトータルRNAから、インサートサイズ250-300 bpのRNAシークエンスライブラリを調製した。イルミナ社シークエンサーHiSeq2000を用いて100 bpショートリードのペアエンドシークエンスを決定した。 得られたシークエンスデータをBowtie, Tophatプログラムを用いてヒトゲノム配列(hg19)および既知のRNA リファレンス配列に対してマッピングした。構造異常が疑われるRNAシークエンスリードの中から、1) 両端のリード長が60未満、2) リボソームタンパク質や核内低分子リボ核タンパク質の配列など、癌の種類を問わず頻出する配列を含む、3) 胃癌において頻出する配列を含む、等を除去した。その結果、in-frame融合と「それ以外の融合」においてrecurrentに出現する、確からしい融合遺伝子候補をそれぞれ145種類(178症例)と235種類(202症例)選出した。また単独に出現するリード数3以上のin-frame融合遺伝子候補が411種類(127症例)あった。 RNAシークエンス解析を行なった218症例のうち213症例において、上記の条件で選択された融合遺伝子が1つ以上検出された。また組織型別の融合遺伝子の出現頻度は、乳頭状腺癌(pap)と高分化管状腺癌(tub1)で高く、粘液癌(muc)で低かった。中分化管状腺癌(tub2)、充実型低分化腺癌(por1)、非充実型低分化腺癌(por2)、印環細胞癌(sig)は同等であった。 融合遺伝子の存在確認はRT-PCR産物のシークエンスを確認することにより行なう。昨年度までに予備的に実施したRT-PCR検証実験の結果を考慮して、確実性の高いシークエンスリードを予め選別することによって、効率的に検証実験が進むことを期待する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析目標数の200症例を達成するために、26年度に40検体の追加収集を行なった。また、RNAシークエンスライブラリ作製に供するRNA品質基準をRIN>5からRIN>4に下げることによって、解析数218症例を確保した。胃癌のアーカイブ検体から高品質RNAを得ることが難しいため、次善の策をとった。 RNAシークエンスのランは全てのライブラリについて終了し、融合遺伝子を検出するための情報解析も終了した。27年度には胃癌の融合遺伝子について、検証実験を含めた総まとめを行なう計画である。計画通りの達成度と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に検出確認したin-frame融合遺伝子は56種類(28症例)あったが、recurrentに出現するものが見つからなかった。今年度218症例のRNAシークエンスが出揃ったので、来年度は頻度を持って出現する融合遺伝子に着目して、予測されるタンパク質構造(機能ドメインを含むかどうか等)を基に、胃癌の治療標的分子となり得る融合遺伝子を探索していく計画である。
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Causes of Carryover |
シークエンスラン試薬のまとめ買い分を使用したことによって実験の経費を節約できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終27年度のRT-PCR検証実験では多数の候補融合遺伝子について調べる必要があるため、そのプライマー合成費用に使用する予定である。
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