2016 Fiscal Year Annual Research Report
The function of histone demethylase JMJD1A as a signal-sensing scaffold
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25291002
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
稲垣 毅 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (10507825)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヒストン脱メチル化酵素 / エピゲノム / クロマチン再構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究成果に基づき、ヒストン脱メチル化酵素であるJMJD1AのS265におけるリン酸化に関する検討をマウス個体を用いて実施した。イソプロテレノールによるアドレナリン刺激および寒冷刺激(4℃)を与えたマウスから褐色脂肪を採取し、その褐色脂肪から得られたタンパク抽出液をSDS-PAGEゲルに展開してメンブレンにうつしたうえでJMJD1Aリン酸化(S265)特異的抗体を用いたイムノブロット解析を実施した。その結果、マウスの褐色脂肪組織においてもJMJD1Aがリン酸化されることを確認した。また、熱産生関連遺伝子領域におけるエンハンサーとプロモーターの近接化をChromosome conformation capture(3C)法を用いて検証することに成功した。さらに、寒冷刺激を与えたマウス個体を用いた生理学的解析を実施した。JMJD1A欠損マウスと野生型マウスにそれぞれ短時間の寒冷刺激を与え、1時間ごとの体温変化を直腸温測定で検討するとともに代謝ケージを用いて寒冷時の代謝量変化(酸素消費量および二酸化炭素排出量)を検討した。その結果、寒冷刺激下のJMJD1A欠損マウスでは、野生型マウスで認められる体温低下と代謝亢進(酸素消費量と二酸化炭素排出量の増加)の程度が低下していた。さらに、JMJD1Aのリン酸化部位点変異体ノックインマウスを用いて寒冷刺激時の直腸温測定を実施、検証した結果、ノックインマウスにおいても野生型マウスと比較してより強い体温低下を認めた。この結果は、JMJD1Aのリン酸化が個体レベルの熱産生に関与することを明確に示すものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究提案にあったJMJD1Aリン酸化部位の同定とそれにともなう複合体形成の解明に引き続き、マウスモデルを用いた検討を行って生理学的解析の結果を得たため、おおむね順調に進展したと判断した。動物室の空調異常とその工事による計画延長が必要となったものの、翌年度に実施して研究計画を終了できる目途が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度内に中断を余儀なくされた実験を実施して計画を終了する。
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Causes of Carryover |
動物モデルを用いる予定で自然交配を行ったものの産仔数が少なかったため、自然交配を継続するとともに人工授精を実施することとした。産仔数の減少は動物実験室の空調異常との関連が考えられたために空調工事を実施したが、工事に伴う漏水、天井剥落などの影響で実験延長が余儀なくされた。
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Research Products
(9 results)